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看護師インシデント内容対策|元ICU看護師が教える看護師のインシデント内容と対策

ナース裕美です。

看護師のインシデント事例ってどんなものがある??
インシデントに対してどんな対策を立てている??

元ICU看護師の私が、こんな疑問にお答えします。

看護師として仕事をしていると、インシデントやアクシデントに遭遇、または起こしてしまうこともあります。

誰しもミスをしたくないですし、ミスやインシデントを起こさないように緊張感をもって仕事をしていると思います。

でも、看護師も人間です。

全くミスをしない、なんてことは実際不可能です。

人間誰しも大なり小なりミスをおかします。

ミスやインシデントを起こしてしまうことを完全に防ぐことはできません。

ただ、起きたことをしっかりと振り返り、同じことを繰り返さないようにする、ということが重要になります。

この記事では元ICU看護師の私が実際遭遇したインシデントについて、その後の対策と共に解説します。

あなたの看護師人生の一助になれば幸いです。

この記事を読むとわかること

看護師のインシデントとアクシデントの違い

看護師のインシデント事例と対策

この記事の執筆者


ナース裕美 / 緒方裕美
大学病院にて眼科、ICUに11年勤務。今はフリーランス。
看護師に役立つ記事作成をしています。

看護師のインシデントとアクシデントとは

看護師として働いていると、よく耳にするインシデント。

アクシデントとなにが違うのでしょうか。

インシデントとは

偶発事象のことを指します。

誤った医療行為などが実施される前に発見されたもの、または、誤った医療行為などが実施されたが、結果として患者さんやご家族に障害もしくは不利益を及ぼさなかったものを言います。

「ヒヤリ」「ハット」のことを言います。

アクシデントとは

医療事故を指します。

医療行為によって患者さんやご家族に障害もしくは不利益を及ぼしたものをいいます。

不可抗力や自傷行為なども含みます。

看護師のインシデント事例と対策

それでは、私が実際遭遇したインシデントについて、その後の対策と共にご説明します。

看護師のインシデント事例その1:挿管チューブカフチューブ切断

インシデント事例

準夜勤務中、口腔挿管し人工呼吸器装着中の患者さんのマウスケアを実施。

実施者は1年目の看護師、介助者はプリセプターでした。

挿管チューブの固定テープを外し、挿管チューブの挿入長さを確認していました。

長さを確認後チューブ固定を再度実施。

その時は切ったテープを巻き付け固定を行っていました。

実施者がテープを固定したところ、思ったよりテープが長く残ってしまいハサミで切断。

その際、挿管チューブのカフチューブも一緒に切断してしまいました。

実施者よりカフチューブを切断してしまった、と言われた介助者はすぐにカフチューブを折り曲げ、それ以上カフからエアが漏れないようにし、リーダーへ報告。

リーダーよりすぐに医師へ報告しました。

結果

医師が病棟へ到着後、すぐに詳しく報告。

患者さんの呼吸状態は落ち着いていたため、すぐに挿管チューブの入れ直しを行うことになりました。

担当医師と麻酔科医同席のもと挿管チューブを入れ直しました。

入れ直しの際も患者さんの呼吸状態は悪化することなく経過。

考えられるリスク

・挿管チューブのカフチューブが切断されたことでカフのエアが抜け口腔内唾液などの垂れ込みを起こし、肺炎悪化などのリスク。

・カフエアが漏れることで人工呼吸器の十分な効果を得られず呼吸状態悪化の可能性。

・挿管チューブ入れ替えによる呼吸状態悪化のリスク、患者さんに苦痛を生じる可能性。

インシデントその後の対策

患者さんの周囲でハサミを使うことがないようにする必要があった。

そのため、挿管チューブの固定のためのテープを新たに導入。

ハサミを使う必要がないような、挿管チューブ固定専用のテープとした。

このアクシデントは病棟内だけでなく、病院全体のリスクマネジメント委員会でも共有され、固定テープも病院全体で導入された。

看護師のインシデント事例その2:脳室ドレーン自己抜去

インシデント事例

脳外科手術後に脳室ドレーン挿入中の患者さん。

意識レベルはJCS1〜2を行ったり来たりするレベルで意識がクリアとは言いづらいが、会話は成立していました。

また、脳室ドレーン挿入後数日立っており、安静が続いていました。

その日は、担当看護師は患者さんの意識レベルがクリアではないため、ベッドサイドで見守りを行っていました。

また、ドレーンに触れられないように両手にミトンを装着していたが、それ以外の身体抑制はしていませんでした。

夜勤中見守りを行い、深夜帯の朝、隣のベッドの患者さんの清潔ケアに入り、その時の患者さんは意識レベルJCS1の状態。

接するカーテンを開けた状態でケアに入っていました。

しかし、突然患者さんが体を起こし、脳室ドレーンが引っ張られる状態になったためすぐにベッドサイドへ、患者さんの状態を確認すると脳室ドレーンが抜けていることに気づき、すぐにリーダーへ報告。

リーダーもすぐに当直医へ報告しました。

結果

当直医が確認すると、脳室ドレーンは途中で切れていることもなく全て抜去された状態でした。

創部を確認すると脳室ドレーンを固定していた縫合糸が緩んでおり、少しずつ抜けていた可能性もありました。

患者さんの状態の変化はなかったがすぐに頭部CTを撮影。

脳室の拡大はなかったため経過観察となりました。

考えられるリスク

・脳室ドレーンが抜去されたことにより、必要なドレナージが行えず、脳室拡大をおこし状態悪化の可能性。

・脳室ドレーンが途中で切れる可能性もあり、その場合はサイド開頭手術を行う必要があった。その場合、本来であれば必要のない麻酔や手術の侵襲を患者さんに与えてしまうリスクがあった。

・突然起き上がったことによりベッドからの転落のリスクがあった。

インシデントその後の対策

身体抑制を実施するためのフローチャートを作成。

患者さんの状態と照らし合わせて各勤務帯でチャートの評価を行うこととした。

そして、少しでもチャートに引っかかった場合は、医師に相談の上、身体抑制可の指示を出してもらい、患者さん・ご家族に説明、患者さんの安全確保のために必要な身体抑制を行うこととした。

どうしても身体抑制に抵抗を感じてしまう看護師も多かったです。

確かに不必要な身体抑制はいけません。

しかし、結果患者さんの安全につながることをしっかりと説明を行うようにしました。

看護師の見守りだけでは限界があります。

患者さんに苦痛のない程度で必要な身体抑制を行いました。

看護師のインシデント事例その3:気切チューブのカフ破裂】

インシデント事例

気管切開中の患者さんの気切チューブのカフはカフのエア量ではなく、カフ圧を確認していました。

また、カフ圧計を用いて勤務が始まったとき、マウスケアの前後に確認を行っていました。

担当看護師はマウスケア前にカフ圧を確認、口腔内唾液や水が機関に垂れ込まないようにカフ圧を少し高めにしようとエアを送り込みました。

その時「パン!」という音がして、同時に患者さんの気管よりエア漏れの音を確認。

すぐに気切部を押さえエア漏れを防ぎ、リーダーへ報告。

リーダーより医師へ報告しました。

結果

医師到着後すぐに気切チューブの入れ替えを実施しました。

患者さんの呼吸状態は悪化することはなく、胸部レントゲンでも肺状態の変化はありませんでした。

交換前の気切チューブを確認したところ、カフが破れていました。

考えられるリスク

・カフが破れたことで有効な酸素交換が行えず、呼吸状態悪化のリスク。

・カフが破れたことで口腔内唾液の気管への垂れ込みが起こり、呼吸状態が悪化するリスク。

インシデントその後の対策

・使用する気切チューブの見直し。

・カフ圧計の点検を行うとともに、新しいものへ交換。

このアクシデントに関しては明らかな原因が不明であるため、対策を立てるのが難しかったです。

病棟内だけでなく病院全体のリスクマネジメント委員会で情報を共有しました。委員会のメンバーも原因がわからず、不思議がっていました。

看護師のインシデント事例その4:Aライン自己抜去】

インシデント事例

脳外科手術後の患者さん。

術後の循環動態の管理目的でAラインが挿入されていました。

術後の意識レベルはほぼクリアであったため身体抑制は行っていませんでした。

また、ルート類に触れる様子もありませんでした。

準夜帯、深夜帯共によく休まれており、Aラインの波形も問題なく出ていましたが、日勤帯へ交代する直前になり波形がしっかり出ていないことに気づきました。

挿入部を確認するとAラインが抜けかかっていました。

すぐに医師へ報告しました。

結果

その患者さんは当日に病棟へ戻ることになっていたため、どっちにしろ朝の回診でAラインを抜去する予定でした。

そのため、入れ直しをすることなく、そのまま抜去することになりました。

患者さんに確認すると、ルートに触ってはいないが痒みがありシーツに擦りつけた、とのことでした。シーツに擦りつけたことで、固定が緩み、挿入部が抜けてきてしまったと考えられます。

考えられるリスク

・Aラインは撓骨動脈に挿入されているため、全抜去してしまうと出血を起こすリスクがあった。

・抜去時に圧迫をしないことで、血腫形成のリスクがあった。

・この患者さんは循環動態が安定していたが、Aラインが抜去されることで正確に循環動態をチェックできない可能性があった。

インシデントその後の対策

・不必要なルート類の早期抜去を検討してもらえるように医師へ働きかけた。

・Aライン挿入部を保護するようにした。ストッキネットなどで保護した。

看護師のインシデント事例その5:皮膚トラブル形成

インシデント事例

点滴の挿入部、サーフローとルートのコネクト部分が皮膚に当たり潰瘍を形成してしまいました。

点滴は5日で刺し直すようにしていましたが、皮膚が弱い患者さんだったということもあり、5日のうちに潰瘍になってしまいました。

すぐにリーダーより、スキンケア認定看護師に連絡しました。

結果

スキンケア認定看護師により診察。

軟膏塗布にて経過観察となりました。

考えられるリスク

褥瘡程度が潰瘍より進むことで創部治癒が遅延するリスク。

また、創部より感染を生ずるリスクがあった。

インシデントその後の対策

皮膚が弱い患者さんだけでなく、全ての患者さんの点滴挿入時、コネクト部分に皮膚保護剤などをかませ、圧迫を防ぐようにした。

まとめ

・アクシデント一歩手前というようなものから、ヒヤリとしたものまで、内容は様々です。

・看護師として働いていれば一度はヒヤリとしたことがあるでしょう。インシデントを起こすと落ち込みますよね。

・インシデントを起こしてしまうのは自分だけではありません。経験年数に関わりもありません。

・起きてしまってことは戻せません。しっかりと対策を練り、同じことが起きないようにしていくことが重要です。

私が私がICUに勤務中に起きたインシデントについてまとめました。

あなたの看護師人生が充実するよう願っています。

執筆者情報:裕美の転職研究所

ナース裕美(緒方 裕美)

看護師。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務。今はフリーランス。

ナース裕美の夫

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大学病院にて眼科、ICUに看護師として11年勤務した後独立。現在はキャリアアドバイザー、転職メディア運営、メディカルライターとして活動。 企業の採用担当として働く夫とともに、転職を成功させるためのノウハウを発信しています。 看護師としての視点、採用側の視点両面から考え、転職に役立つ記事作成をしています。 ★保有資格「看護師免許」「職業紹介責任者(番号:001-220124001-05302)」
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