海外ボランティアってどんな種類がある??
海外ボランティアをするにはどうしたらいい??
そんな疑問にお答えします。
「海外の医療を学ぶことに興味があるが、英語が苦手で留学までは考えられない。」そんな人におすすめなのが海外ボランティアです。
日本人が参加できる医療ボランティアの中には英会話初心者でも参加できるもの、学生でも参加できるものが多くあります。
この記事では、看護師の私が海外で医療ボランティアを行える団体を紹介します。
この記事の執筆者
ナース裕美(緒方裕美)
看護師。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務後独立。現在はキャリアアドバイザーとして活動中。
保有資格は「看護師免許」、「職業紹介責任者(番号:001-220124001-05302)」
『ナース裕美の看護師転職サイト早わかり解説』(Kindle)著者。
看護師としての視点から、転職に役立つ記事作成をしています。
当メディアは厚生労働省が規定している職業紹介責任者が監修しています。
海外ボランティア【プロジェクトアブロード】
概要
プロジェクトアブロードは、国際的なボランティア団体であり、本社はイギリスに、オフィスと活動拠点は海外50か国以上となり、参加者はヨーロッパ人やアジア人も多くいます。
現役看護師のほか、看護学校の学生まで、医療に関心がある人が参加できます。(派遣先によっては看護師資格が必要なことがあります)
必要とされる知識・経験
募集に英語力の基準は設けられていません。
必要な英語力の目安としては学校で習う英語レベルで、分からないことを分からないと伝えられる、伝えるための積極性、があると良い、とされています。
しかし、看護の現場に出ますので、専門的なことも出てくるでしょう。
できる限り渡航前に勉強しておくに越したことはありません。
派遣先
ネパールやベトナムなどのアジアをはじめ、中南米、アフリカ、南アメリカなど世界20ヶ国以上の発展途上国に派遣されます。
派遣先は複数国を選択することもできますし、一つの国の異なる場所を選ぶこともできます。
各活動国にプロジェクトアブロードの事務所があり、現地スタッフがサポートします。
活動内容
現場医療を学ぶ
直接治療に携わるというより、現地の病院や診療所で働く看護師について現場の医療を学ぶ形となります。
地域のヘルスケアを学ぶ
派遣先によっては地域のヘルスケアを学ぶこともできます。
期間と費用
活動期間は一週間から可能です。
参加費は渡航先によって異なりますが、一週間で約19万円から(宿泊費、食費、送迎などの現地サポート込み)となり、他に往復航空券、ビザ申請費用、予防接種などは自費となります。
チャイルドドクターサポートが参加費用の一部を負担する制度があり、この参加費負担制度はボランティアプロジェクトに参加し、帰国後に(株)チャイルドドクターサポートを介して日本の医療機関で勤めることが確定している人が対象となります。
最大50万円まで支給されます。
参加するには
プロジェクトアブロードのホームページで、申し込みができます。
ホームページ | Projects Abroad (projects-abroad.jp)
海外ボランティア【世界の医療団】(認定NPO)
概要
世界の医療団は、世界81ヶ国で、国内外の自然災害、武力紛争、低開発などにより、外部からの医療支援を必要としている国や地域へ医師、看護師、コーディネーター、ロジスティシャンなどを派遣し、疾病、外傷、心的不調などに苦しみながらも治療を受けられない人々に治療を提供します。
日本国内でも、ホームレスへのケアや被災地での活動を行なっています。
必要とされる知識・経験
応募には看護師として2年以上の臨床経験が必要です。
また、保健師や助産師の資格があると活動の幅が広がります。
英語やフランス語で業務を行える程度の語学力が必要となります。
派遣先
看護師として医療ボランティアに参加する場合は、アフリカや中東が中心です。
活動内容
現地の医師や看護師と協力しながら医療行為の補助や物品管理、現地の人へのかかわりを行います。
渡航先により活動内容は異なります。
期間と費用
活動期間は、基本的に6~12か月です。
6か月未満の短期も可能ですが、長期を希望する人、経験がある人が優先的に派遣されます。
現地での交通費、保険は世界の医療団が負担します。
参加するには
世界の医療団のホームページにて応募ができます。
ボランティアに参加する | 国際協力NGO 世界の医療団 (mdm.or.jp)
海外ボランティア【ジャパンハート】
概要
ジャパンハートは、「医療のないところに医療を届ける」というスローガンのもと設立された国際医療ボランティア団体です。
国、地域、人種、政治、宗教、境遇を問わず、全てのひとが平等に医療を受けることができることを目的としています。
短期ボランティアと国際看護長期研修があります。
必要とされる知識・経験
短期ボランティアでは英語力は問われませが、英語を使っての問診や診察のサポートを行うため、それなりの語学力が必要となります。
また、看護師経験年数や経験診療科についても問われません。
看護師の他、学生や医療者以外の社会人も参加できます。
国際看護長期研修では英語力は問われません。
語学研修(フィリピン)と国内研修中のオンライン英会話の受講ができます。
応募の際は面接があります。
また、看護師免許と臨床での3年以上の経験が必要となります。
派遣先
ミャンマー、カンボジア、ラオスのアジア3か国と大規模災害の被災地などです。
活動内容
短期ボランティア
短期ボランティアでは病棟でのサポート、外科外来、外科手術、英語を使った問診や診療介助、簡単な創部処置などを行います。
配属先の病院によって活動内容や英語使用の有無は異なります。
国際看護長期研修
国際看護長期研修では、5日間の英語研修(フィリピンにて)、半年間の日本国内での離島研修の後、海外で働くことになります。
十分に医療が行き届かないような場所で患者さんに対して直接医療を提供します。
期間と費用
短期ボランティアは2~10日間を選択できます。
現地活動費(巡回診療や手術のための実費による参加費)として3~10万円必要です。
国際看護長期研修は6か月コースと1年コースがあります。
費用は前期100万円(国内研修)、後期100万円(海外研修)です。
国内離島研修中は派遣医療機関から給与が支給されます。
渡航費用や保険は全て自己負担となりますが、活動地での宿泊や食事はジャパンハートが用意します。
参加するには
ジャパンハートのホームページでスタッフ募集をしています。
海外ボランティア【国境なき医師団】
概要
国境なき医師団とは、世界各地で激化する紛争、大規模な自然災害、感染症の深刻なまん延に見舞われた、医療ニーズの高い地域へ最良の医療を届ける国際NGOです。
国境なき医師団の海外派遣スタッフとして募集されている看護職種は正看護師・手術室看護師・助産師です。
必要とされる知識・経験
正看護師は、3年以上の臨床経験が必要です。
その他、1年以上の感染管理での経験、小児科、ICU、救急、産科での経験が必要です。
英語力としては、英語・フランス語でも業務を行える程度の語学力が必要です。
手術室看護師は、4年以上の手術室での経験が必要です。
一般外科や産科など、幅広い分野での経験が必要とされます。
英語・フランス語・アラビア語でのコミュニケーション能力が必要となります。
助産師は、2年以上の臨床経験や異常分娩・ハイリスク分娩への介助経験も必要となります。
英語力は明確にされていませんが、英語や他言語でのコミュニケーションが取れることが必要です。
医療職種に関しては臨床から2年以上ブランクがある場合、応募を受け付けられないことがあります。
活動地では即戦力が必要なためです。
書類審査を経て面接を受ける必要があります。
そこで厳しくチェックされ、合格したら登録し、派遣前研修を受けることになります。
派遣先
イエメン、ケニア、ナイジェリアなどのアフリカが主となります。
原則、派遣先は選べません。
ポジションの空き状況や派遣時期、候補者の経験、現地の治安状況により判断されます。
活動内容
正看護師
正看護師は、現地スタッフのマネジメントが主な業務となりますが、活動地やプログラムによって担当する業務は異なります。
手術室看護師
手術室看護師は、自然災害や紛争などで外傷を負った人への手術、医療の発達が乏しい地域で外科治療を必要としている人への手術の介助を行い、幅広い分野の手術の直接介助・間接介助を行うことになります。
助産師
助産師は、妊産婦検診・分娩介助・産後ケア・性感染症予防のための教育や啓発活動を行います。
産科医がいない地域での外科医との帝王切開など、高いスキルが必要となります。
期間と費用
初めての参加であれば、海外派遣期間が積算1年を超えるまでは給与として17万1505円/月が日本円で支給されます。
派遣期間が1年を超えた後は、派遣されるポジションや過去の経験を加味し算定、給与として20万408円~57万5862円/月が支給されます。
派遣先までの渡航費(航空運賃、国内交通費、宿泊費など)、渡航手続き関係費用(予防接種、ビザ申請費用など)は国境なき医師団が負担します。
雇用期間が31日以上の人は雇用保険に加入します。2か月を超える場合は、厚生年金および健康保険に加入します。活動中は国境なき医師団の医療保険が負担されます。
手術室看護師の派遣期間の目安は3~6か月、正看護師と助産師は6か月~1年です。
参加するには
国境なき医師団のホームページにて、応募ができます。
海外ボランティア【JICAボランティア(青年海外協力隊)】
概要
青年海外協力隊の看護師として活動するために必要な要件は看護師の国家資格のみで、保健師や助産師の資格や実務経験もあると、活動範囲が広がります。
青年海外協力隊の医療・保健関連の要請は多岐にわたっており、「公衆衛生」「感染症・エイズ対策」「病院運営管理」などの職種でもよく募集が出されています。
看護分野だけでなくても、看護師の資格や経験を生かしつつ、幅広く医療・保健関連の分野で活躍することが可能です。
同じように看護師資格を持っている人であっても、これまで力を入れて勉強してきた内容や、実務経験に応じての違いにより、得意な分野や力を発揮できる分野は変わってきます。
各要請内容をよく確認して、自分が関心を持っていて、自分の力を発揮できるような要請を選ぶことが必要となります。
必要とされる知識・経験
看護師職種では、訪問看護や乳幼児・高齢者への対応、保健指導など様々な経験・知識を持つ人が求められています。
また、青年海外協力隊の看護師として活動するために必要な実務経験年数は3年以上(派遣時点)です。
より専門性が求められる要請においては、5年以上の実務経験が必要です。
その他、要請内容によって、特定の疾患や部署での知識や実務経験、糖尿病療養指導士などプラスアルファの資格、プライマリ・ヘルスケアや母子保健、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)についての体系的な知識や経験が求められる場合があります。
活動内容
中核病院
地域の中核病院で、看護業務を通して、医療事故や院内感染防止、患者中心ケアを病院スタッフに指導します。
県病院
県病院のICUで、看護技術の向上や看護ケア改善のための指導を行います。
保健センター
地域の保健センターや村落部を巡回して、妊婦健診受診率向上のための啓発活動、母子手帳の普及
専門学校
看護の専門学校で、同僚とともに実習を中心に学生を指導 など
※看護師としての医療行為ができるかどうかは、派遣される国によって事情が異なるため、事前に確認が必要です。
青年海外協力隊の募集
青年海外協力隊は年度計画によりますが、ここ5年間は毎年1,000名程度の募集をしています。
過去実績の累計でも14%近くとなり非常に多くの看護師が参加されています。
看護師の派遣先や目的も明確となっているため、実績も多くなっています。
JICAでは全国キャラバンやイベントで説明会を行っています。
JICAの目的やボランティア事業の概要などの説明を行います。
青年海外協力隊を希望する方は説明会に参加し、しっかりと情報収集を行うことが重要です。
時間がない方や会場まで足を運べないような方はWEB説明会もあります。
募集は毎年2回で、20~45歳まで、看護師の合格倍率は69%と他分野に比べると高めです。
青年海外協力隊になるには
青年海外協力隊の募集要項、応募方法はJICAに記載があります。
春と秋にそれぞれ募集期間があり、都度ホームページに記載がされます。
一次選考は「技術審査」「健康審査」「語学審査」が行われます。
【JICAホームページ】JICA – 国際協力機構
技術審査
看護師免許のコピーが必要で、青年海外協力隊を応募する理由、ボランティア経験について、帰国後の進路について考えておく必要があります。
また、どのような分野で支援を行いたいかを明確にしておく必要があります。
健康診査
JICA指定の健康診断書を医療機関に提出するだけになります。費用は健康診断を行う医療機関によって異なりますが1万から2万円程度となります。
語学審査
必要となる語学力は英検3級、TOEIC330点以上であり、これが最低ラインとなり、高校卒業レベルです。
ただし、これらを受験する必要があるため、受験のための準備は必要です。
二次審査は一次選考の合格者のみで、東京の指定の会場で行われ、人物審査の面接と健康診査が行われます。
二次審査にかかった交通費は支給されます。
期間と費用
青年海外協力隊はボランティアとなるため基本的に給与は支給されませんが、活動における手当が支給されることになります。
手当の支給額は派遣国に関わらず一律で、訓練期間は月々40,000円、派遣期間は月々55,000円となります。
また、帰国後に支給される手当は、月額20,000 円×派遣期間分が一括支払いで支給されます。
青年海外協力隊では、派遣先での毎月の生活費も支払われ、支給額は派遣国の物価によって異なります。
通常は派遣国の大卒初任給程度の額が支払われますが、途上国の給与水準がベースとなるため、日本で働くよりは給与は少なくなってしまいます。
ただ、手当も支給されますし、生活にかかる費用も少ないです。
派遣先での住居は現地勤務先・またはJICAによってあっ旋され、家賃・光熱費は全額支給されます。
また、派遣国と日本の間の往復交通費も全額支給されますが、これは最初に派遣国に赴くときと、任期を終えて帰国する際に限ります。
青年海外協力隊の勤務時間
青年海外協力隊の勤務時間は明確に決められていません。
職種や派遣先によって異なり、派遣先の事情に合わせ柔軟に働くことが必要となります。
ただし、基本的には現地で決められた勤務時間内での活動となるため、残業はほとんど発生しません。
休日についても配属先、活動の状況に応じて異なってきます。
長期で2年間派遣される場合には、1年に20日間を限度として派遣国の外に出ることが可能です。
ただし、旅行先は安全を考慮して認められた国のみであり、配属先やJICA事務所の承認をとる必要があります。
まとめ
・医療ボランティアは様々な種類がある
・それぞれ派遣先、活動内容が違うため、よく確認して参加したい
・看護師として世界の医療に貢献できる
海外医療ボランティアの種類をご説明しました。
あなたの知識と経験を活かして世界で活躍してくださいね。
執筆者情報:裕美の転職研究所
ナース裕美(緒方 裕美)
看護師。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務。今はフリーランス。
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Email:nursehirocom@yahoo.co.jp
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