看護師の外来業務と病棟業務の違いってなに??
外来業務と病棟業務の内容が知りたい!
看護師として病院に勤務する場合、外来に配属になるか病棟に配属になるかで業務内容は異なってきます。
また、病棟から外来、外来から病棟へ配置転換があった際、業務の違いから戸惑うことも多いと思います。
この記事では看護師の私が、主な外来業務と病棟業務を詳しくまとめます。
あなたの転職活動の一助になれば幸いです。
この記事の執筆者
ナース裕美(緒方裕美)
看護師。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務後独立。現在はキャリアアドバイザーとして活動中。
保有資格は「看護師免許」、「職業紹介責任者(番号:001-220124001-05302)」
『ナース裕美の看護師転職サイト早わかり解説』(Kindle)著者。
看護師としての視点から、転職に役立つ記事作成をしています。
当メディアは厚生労働省が規定している職業紹介責任者が監修しています。
看護師の外来業務
業務内容
医師の診察サポート
医師の診察サポートは外来看護師の主な業務となります。
医師の診察の前に患者さんから情報収集(主訴や既往歴など)を行ったり、診察への誘導を行います。
また、診察中は、診察が行いやすいように患者さんの介助や物品の準備を行います。
医師の指示のもとバイタルサインの測定や採血、注射など検査・処置も行います。
療養相談・指導
外来から帰宅した患者さんが医師の治療方針を理解し、服薬や食事制限を徹底していくことは、患者さんの病気の改善や予防につながります。
病棟と違い看護師が24時間看護できるわけではないので、外来という短い時間の中で効果的に相談・指導を行う必要があります。
患者さんは医師の前だと緊張しやすく、質問などがしづらいと感じる人も多いです。
そのため、医師の診察後に看護師が患者さんの理解度を確認し、改めて看護師の方から療養相談・指導を行うことで患者さんの理解を深めていきます。
事務業務
事務業務は大きい病院だと専門の事務がいることもありますが、クリニックや規模の小さい病院だと看護師が行うこともあります。
電話応対や受診の受付などを行います。
また、物品の整理整頓・管理・補填、書類の整備なども行います。
病棟との連絡・連携
入院病棟を併設している病院の場合、外来に来た患者さんの状態が悪く緊急入院をする、ということもあります。
その際病棟に空きベッドの状況を問い合わせたり、手術が必要な場合は関連部署との調整を行ったりします。
入院に必要な検査を行い、入院病棟へ患者さんを移送、引継ぎを行います。
メリット
週休2日制
病院によっては土曜日を診察日としているところもありますが、基本的には土日祝休みです。
家庭を持っていたり、子育て中の人は病棟看護師のようにシフトで動くことが難しくなるため、外来の方が人気です。
日勤のみ
外来に夜勤はありません。
そのため生活リズムを崩すことなく働くことができます。
肉体労働が少ない
外来看護師は立ち仕事です。
ですが病棟看護師とは違い看護ケアに関する介助はありません。
患者さんを介助する場面が少ないため、腰痛などのリスクは減ります。
デメリット
給与は低め
外来は夜勤がないため病棟勤務と比べると給与は低めとなります。
患者さんと接する時間が短い
外来にはたくさんの患者さんがきます。
そのため、患者さん一人ひとりと接する時間は必然的に短くなります。
患者さんと深くコミュニケーションを図りたい、というような人には物足りなく感じてしまうかもしれません。
クレーム対応がある
外来で最も多いクレームが待ち時間です。
体調が悪くて外来に来ているのに待ち時間が長くてイライラする、そんな患者さんが多いのも納得です。
時には緊急性の患者さんがいて順番を入れ替える必要があったりすると、怒り出してしまう患者さんもいます。
それぞれの患者さんへの丁寧な説明と気遣いが必要となります。
しかし、慣れないうちはクレームを聞き、気遣いをすることに対してストレスを感じやすいと言えます。
スキルアップが難しい
外来では看護業務においては様々な経験をすることが難しい環境です。
仕事内容が単調であり、看護師としてのスキルを増やすということが難しいです。
そのため新卒でこれから看護技術・看護ケアを学んでいく、という人には不向きと言えます。
外来に向いている人
ワークライフバランスを重視する人
外来は夜勤がなく、残業も少ない傾向にあります。肉体労働も少ないです。給与はほどほどでも、規則正しい生活やプライベートな時間を重要視する人に最適な職場と言えます。
患者さんに深入りせずに仕事をしたい人
前述の通り、患者さんが多いため一人ひとりの患者さんに関わる時間は短く、あまり深い関係になることもありません。
患者さんとはドライな関係の方が気楽に仕事ができる、という人に向いています。
テキパキ仕事をこなせる人
多くの患者さんが来院します。
やることは決まっているとはいえ、人数が多い分、業務量も多くなります。
スピード感をもって仕事をこなしていかないと時間内に仕事が終わりません。外来ではよりポイントを抑えた素早いアセスメント、アプローチが必要となります。
今すぐに処置をするべき人とそうでない人を見分け、適切で迅速な医療を提供することが重要です。
そのためにも様々な業務を同時進行で行えるようにテキパキと動ける必要があります。
看護師の病棟業務
業務内容
※業務内容は勤務する病棟(診療科)によって特色があり様々です。大まかには以下の通り。
血圧、体温、脈拍の測定(バイタルサインチェック)
看護師の基本技術の一つです。
少なくとも朝夕の2回はバイタルサインのチェックを行います。
巡回(ラウンド)
患者さんのベッドサイドを巡回します。
挨拶して回り、患者さんの状態を確認していきます。
注射、点滴、採血
医師の指示のもと患者さんに必要な注射・点滴を行います。患者間違い・薬剤の間違いがないように確認を徹底することが重要です。
採血も医師の指示のもと行います。朝に採血をすることが多いため夜勤の仕事となります。
患者の移送
検査などの移送だけであれば看護助手でも行えますが、患者さんの移乗に介助が必要であったり、ルート類が多かったりする場合は看護師が行います。
患者さん一人ひとりの移乗の際の注意点をしっかりと把握し、安全に移乗・移送を行うことが必要です。
入院患者の食事、入浴、排泄の補助
基本的な生活の介助を行います。
どれに関しても患者さんの今の状態をしっかりと把握し、適切な介助を行っていくことが必要です。
食事介助が必要な人がいる場合は、患者さんのペースに合わせて介助を行います。
また、食事摂取量や食事姿勢に関しても観察を行い、必要時食事形態の変更や食器の変更、体勢の調整などを提案していくことも重要です。
入浴に関してはお風呂に入るのか、清拭を行うのかによって介助方法は変わります。
医師の指示で指定されている場合もあります。今の患者さんの状態にあわせて介助を行っていきます。(お風呂にはいれるけど倦怠感があるから清拭にする。など)
排泄に関してもトイレまで行けるのか、ポータブルが必要なのか、陰部洗浄が必要なのか、それぞれの患者さんに合わせたケアを行っていきます。
入院患者の体位交換
自分で動ける患者さんが多い病棟もあります。
しかし、病棟の患者さんほとんどが自分で動けず体位変換を看護師が行う必要がある病棟もあります。
その場合は時間を決めて体位変換にまわっていきます。
ルート類に注意し、患者さんが安楽な体位を整えます。
体格が大きかったり、挿管中であったりする場合は看護師2人で行います。
無理に一人でやろうとすると安全が保てないばかりでなく、自分自身が腰痛を発症する原因にもなります。
入院患者のベッドメーキングなど身のまわりのお世話
患者さんのベッド周囲の環境整備も大切な業務です。
床の掃除やゴミの収集はハウスキーパーが行う病院が多いです。
しかし患者さんの私物があったりするためベッドサイドの整理は看護師が行います。
ベッドのシーツ交換は週に何回、何曜日、と決めている病棟が多いため、勤務している看護師が看護助手とともに一斉に実施します。
担当患者の看護記録
当日の処置内容、看護内容、患者さんの状態についての記録を行います。
基本的には何かを行うたびに記録を行いますが、なかなか業務の傍ら記録を行う時間が取れずに、業務終了後にまとめて記録する、という人が多いようです。
看護師同士のミーティング
入院している患者さんの情報を共有するため、勤務が変わるときに引継ぎを行います。
自分の勤務内で患者さんに起きた変化、変わった指示について、当日の処置の予定などを引き継いでいきます。
他職種との連携
病棟では医師や薬剤師、リハビリ、栄養士など様々な職種と関わります。
一人一人の患者さんに適切な医療を提供できるよう、必要に応じて他職種と連携を図ります。
看護師は患者さんと一番長く接する職種になります。
そのため、他職種と連携を図る際には、マネージメント役として機能します。
ナースコール対応
患者さんからのナースコールに対応します。
基本的にナースコールで話す、ということはなく、ナースコールが鳴ったら病室に行って要件を確認します。
緊急性が高いコールも多いため、すぐに対応することが重要となります。
医師の診察補助
病棟では医師による回診があります。
外科であれば同時に包交も行うため、包交の介助を行います。
また、回診の先回りをし、患者さんの体位を整えたり、衣服をはだけさせたりと、患者さんの準備を行います。
終了後はその逆で、衣服を整えたり、ベッドを整えたりします。
メリット
給与は平均的か高め
病棟は夜勤があるため給与は平均的か、もしくは若干高めとなります。
夜勤手当も病院によって違いがあるため確認が必要です。
患者さんの回復を見守れる
これは病棟によって違いがありますが、外科系や回復期病棟の場合は患者さんの回復が目に見えるため、それが看護師としてのやりがいにつながります。
看護師は患者さんにとって一番身近な医療者です。
そのため、よきパートナーとしての関係を築くことができると、患者さんの困難をともに乗り越えていくことができます。
患者さん一人一人に寄り添った看護を行っていくことができます。
デメリット
夜勤がある
病棟は24時間患者さんの看護を行うため、必然的に夜勤が発生します。
病院によって2交替制か3交替制かは違います。
2交替制では月に4回、3交替制では月に7回程度の夜勤があります。生活リズムが崩れやすいことが特徴です。
向いている人
コミュニケーションスキルの高い人
病棟は患者さんと接する時間が長いです。
また、患者さんだけでなくその家族とも良好な関係を築くことが大切です。
そのためには患者さん・ご家族に寄り添っていける共感力と、話しをしっかりと聞ける傾聴力が重要となります。
そこから信頼関係を築いていくことができるのです。
前述の通り、看護師は患者さんと他職種との関わりの調整役を担っています。
患者さんの意向を伝えるだけでなく、自分の考えを臆することなく伝えていける度胸が必要です。
学びに対して貪欲な人
どこの病棟(診療科)に勤務するかによって必要な知識は変わってきます。
ただし、どこにいっても学ぶことはたくさんあります。
医療知識や看護技術だけでなく人間力など、患者さんから学ぶことも多いです。
そして医療は日々進歩します。
はじめに学んだからそれで終了、ではありません。
看護師は働いている限り、日々学んでいくことになります。
臨機応変にスピーディーに業務を行える人
病棟に勤務していると、予定外の事態が起こることも多々あります。
急変や緊急入院、予定外の処置や検査などなど。自分の一日の業務スケジュールを立てていたとしても、人間である患者さんが相手である限り、予定通りに進まないことは日常茶飯事です。
そんな予定外の事態に直面した時、瞬時に自分の中のスケジュールを組みなおし、対応していける能力が必要です。
そして時間の調整をおこない、できるだけ勤務時間内に業務を終了できるようにスピーディーに動いていくことが必要です。
タフな人
病棟は夜勤があります。
また患者さんの介助の頻度も高いため体力がないと勤まりません。
また、患者さんの命と向き合う現場であるため、患者さんが亡くなってしまう場面に遭遇することもあります。
そんなとき無力感・虚無感に襲われてしまうこともあります。
それでもその感情に流されずに業務を遂行できるような精神的タフさが必要となります。
病院の求人を探すには
外来も病棟も大学病院や総合病院もしくはクリニックどれを選ぶかで、給与などの待遇は異なってきます。
なので、転職サイトで求人をできるだけ集めてから、職場を探していきましょう。
転職サイトは一般には公開されていない、条件の良い非公開求人もありますので、必ずチェックしておきたいところです。
また、転職サイトは、様々なものがありますので、求人数が多く、第三者機関の調査で利用者満足度が高いものを選ぶことが大切です。
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まとめ
・病院・病棟によって業務内容は異なってきます。外来・病棟に勤務することでのメリット・デメリットもあるため、しっかりとリサーチすることが大切です。
・自分が今置かれている状況や生活環境によって向いている職場は違います。自分が何を求めているか、どう働きたいのかを把握していくことが重要となります。
外来と病棟の看護師業務の違いについて解説しました。
あなたの転職が本当に満足いくものになるように願っています。
執筆者情報:裕美の転職研究所
ナース裕美(緒方 裕美)
看護師。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務。今はフリーランス。
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