転職の面接で希望の年収を聞かれたらどう答えればいい??
希望の年収はどのくらいにすればいいの??
企業の採用担当の私がこんな疑問にお答えします。
結論、希望の年収は業界の相場があるため、その相場から大きく外れる金額の提示は避けた方が良いと言えます。
この記事では企業の採用担当の私が、希望年収を質問される意図、希望年収の設定について、面接での答え方について詳しくご説明していきます。
あなたの転職活動の一助になれば幸いです。
この記事でわかること
転職の面接で希望の年収を聞かれたらどう答えればいいかわかります。
希望の年収をどのくらいで答えればいいかがわかります。
この記事の執筆者
ナース裕美(緒方裕美)
元看護師。現在はキャリアアドバイザーとして活動中。
保有資格は「看護師免許」、「職業紹介責任者(番号:001-220124001-05302)」
『ナース裕美の看護師転職サイト早わかり解説』(Kindle)著者。
看護師としての視点から、転職に役立つ記事作成をしています。
希望の年収を正直に答えてもいいのか
転職の面接で「希望の年収はどのくらいですか?」と聞かれることがあります。
誰しも年収UPを希望するのは当然のことです。
なるべく前職よりは年収をあげたいと思いますよね。
では、本当の希望年収を正直に答えてもいいものなのでしょうか。
答えは、業界の相場を大きく外れる金額の提示は避けた方が良いと言えます。
では、具体的にどのくらいの金額を提示すればいいのでしょうか。
詳しくご説明していきます。
転職の希望年収の相場
転職による年収アップの相場は105~110%程度と言われています。
そのため、希望年収の相場としては、現職の年収に+30~50万円程度が妥当です。
しかし、希望する企業の規模、業種・職種によって差はあります。
また、同職種転職なのか、異職種転職なのかでも希望年収は変わってきます。
そして、希望年収で採用されるのかどうかは、自身のアピールで決まってきます。
年収だけにとらわれず、しっかりと準備をして転職活動に臨みたいですね。
転職の希望年収を質問する意図
ここからは、企業の採用担当が、希望年収を質問する意図をご説明します。
(1)給与の目安にするため
企業には予算というものがあります。
いくらスキルが高く、即戦力となってくれそうな人でも希望年収が高すぎると予算に収まらず採用することができません。
企業側は予算からおおよその年収を決めたうえで採用活動をしています。
そのため、あらかじめ決めていた金額と大きく乖離していないかどうかが採用判断の基準となります。
(2)応募者の価値観を知るため
希望年収が低すぎると自己評価が低い人という印象を受けます。
逆に高すぎると自信過剰である印象を受けます。
自分の経験やスキル・資格などを踏まえて自分自身を客観的に見て自己評価できる人であるのかを見ています。
また、転職する業界によっても平均年収は異なります。
それらの相場というものを認識できているか、自分の市場価値はどれほどのものなのかを正確に評価できているのかを確認しています。
転職の希望年収がわからない時は
ここからは、転職の希望年収がわからない時はどうすれば良いかご説明します。
業界・職種の平均的な年収を参考にする
前述のように年収は業界・職種によって異なります。
そのためその業界・職種の平均的な年収をリサーチし、平均から大きく乖離しない程度の金額を提示できるようにします。
例えば、平均から100万以上離れた金額を提示した場合、採用担当から「業界リサーチが甘い人なのかな」という印象を持たれてしまうことにもなります
リサーチの方法としては、業界大手の企業のホームページに記載されている求人情報を確認するか、転職サイトで希望業界・職種の求人を確認し、平均的な年収を把握します。
業界全体の傾向を知り、自分のスキルや経験と照らし合わせることで希望できる年収もはっきりとしてきます。
自分の転職市場での価値を知ることが大切です。
もし、平均より高い金額を提示するようであれば、その根拠をしっかりと伝えられるようにする必要があります。
「○○という資格・スキルがあるため御社に貢献できる」というように高く設定した理由があるはずですので、自己アピールとともに伝えられるように準備します。
求人票を参考にする
求人票には「年収○○万~○○万円以上」など記載されています。
記載されている年収にのっとって希望年収を決定します。
その際、最低額を提示すると、企業の方針にもよりますが実際の年収も低めになる傾向にあります。
「年収が低くてもその企業で働きたい」という人は問題ないですが、できるだけ年収は上げたいですよね。
その場合は、提示された年収の中間から最高額の間で答えると、年収も高めになる設定されるケースが多いです。
採用担当からのポイント
私の職場では、給与の基本額の設定があらかじめ決まっているので、応募者がそれより低い額を提示しても基本額での採用となります。
ただし、企業の方針や企業規模によっては応募者の提示した低い給与で採用する職場もあるでしょう。
なので、特に理由がなければ、求人票より低い希望年収を提示するメリットはあまりないと言えます。
前職の年収を参考にする
転職するからには前職より年収をあげたいものですよね。
その場合「前職が年収○○万円だったので、それ以上の○○万円を希望します」という形で伝えます。
その際、ただ単に前職より年収をあげてください、という伝え方では採用側はあなたを採用するメリットを感じられません。
前職で身についたスキルや前職での経験をどう活かせるのかを一緒に伝えることで、採用メリットを感じてもらえるようにします。
転職エージェントを利用する
転職活動で転職エージェントを利用していると、担当のアドバイザーがつきます。
アドバイザーとの面談でこれまでの自分のキャリアやスキル、希望業界、希望条件を伝えると転職した場合の年収の相場を示してくれます。
自分の市場価値も同時に把握できるため転職エージェントを利用することをおすすめします。
企業側との年収交渉も代行してくれますので、交渉が苦手な人にとって使わない手はありません。
採用担当からのポイント
転職エージェントの担当者は業界の年収などの情報をしっかりリサーチしているので、あなたの経験値やスキルを適切に評価して、希望年収の交渉をしてくれます。
自分自身で交渉するよりも、希望年収を勝ち取れる可能性は高いと言えます。
転職エージェントは企業から報酬を得ているため、無料で利用できます。
使わないのはもったいないですね。
転職の希望年収の答え方
ここからは、企業へ希望年収をどう伝えたら良いかをご説明します。
(1)企業規定に従う意を示す
希望年収を聞かれた場合、ただ金額を伝えればいい、というものではありません。
「基本的には企業の意に従う」という謙虚な姿勢を示すことで印象をよくすることができます。
面接で好印象を与え、評価が高くなれば年収の提示額のアップも望めます。
「希望年収に関しては、できれば現在の年収と同等、もしくは○○万円以上を希望させていただきたいですが、基本的には御社の規定に従うつもりです」と答えると、採用担当も「相手側のことも考えられ、常識のある人だな」と好評価につながります。
採用担当からのポイント
応募者が提示した希望年収が業界の水準を超えてあまりにも高かった場合、その希望年収で内定を出すのは不可能ですし、「常識の部分でも少し問題があるのかな。。」と正直評価が低くなります。
その希望年収の根拠を聞いてみて、納得いくものでなければ不採用にする確率は高いと言えます。
希望年収を平均より高く提示するのであれば、必ず根拠を用意しておく必要があります。
しっかり用意してうまく答えられれば自己PRにもなりますね。
(2)現職の年収を基準にする(同業界、同職種の場合)
現在就業している人は現職の年収を正確に把握しておきましょう。
希望年収を聞かれた際は、現職での年収を提示することで、希望年収の妥当性を評価がしやすくなります。
しかし、スキルや資格の評価は企業によって異なります。
前職で高く評価されていたからと言って、応募企業でも評価されるとは限りません。
あくまでも妥当性を判断する基準として提示をします。
そして、これはあくまでも「市場価値と人材価値が一致しているとき」にのみ使える回答となります。
「現職では年収○○万円です。希望年収は現職と同等か、それ以上の○○万円希望しますが、基本的には御社の規定に従います。」と答えるとともに、現職以上の年収を希望する理由も用意しておきましょう。
また、異業種・異職種に転職する場合は、現職の年収を提示するのは避けましょう。
仕事内容が変われば年収も変わります。
まずは転職する業界・職種の適正年収を把握することが大切です。
採用担当からのポイント
私の職場では、経験者に対して、経験値分の上乗せをして給与を決めています。
もちろん上限はありますが、専門分野の経験年数などを確認できれば、未経験の内定者より年収を高くして採用することがあります。
なので、あなたの業務経験を、携わった年数までしっかり答えられるように整理しておくと、面接で明確にスキルをアピールすることができます。
しっかり経験をアピールする応募者は、それだけで魅力的に見えますし、自己分析もできているので評価も高くなります。
どこの企業の面接対策にもなるので、業務経験は書き出して資料にしておくと役に立ちますし、業務経験の資料を求める企業もあるので、あらかじめ用意しておくといいですね。
(3)最低ラインを一緒に提示する
転職希望の業界・職種の平均的な年収や、求人票に提示されている年収から希望年収を導き出すのがセオリーです。
希望年収を提示するときに「○○万円で」と言い切るのではなく、おおよその範囲で解答することも可能です。
その場合、企業側は範囲内での一番低い金額で交渉してくる可能性がありますので、年収の目標額が希望年収の最低額になるように設定するといいでしょう。
450万円が希望年収の場合、「年収450万~500万円を希望します」と答えておくと良いですね。
採用担当からのポイント
最低ラインは前職の年収や生活レベルから必ず決めておきましょう。
採用されたい気持ちが強くて、あなたの市場価値より低い年収で転職してしまってはもったいないです。
企業は星の数ほどあります。
ぜひ、ご自身を低く見積もらないで、最低ラインの希望年収は下回らないように、できるだけ条件の良い転職先を見つけてくださいね。
(4)個人的事情は関係ない
「結婚するから年収は高い方がいい」
「子供が生まれるから年収をあげたい」
気持ちはわかります。
それでも希望年収を答える際に私情を挟むのはNGです。
会社は従業員に対してして仕事の対価として給与を支給しますので、個人的事情によって給与が変動することはありません。
採用担当からのポイント
個人的理由から希望年収を決めても問題ありませんが、企業に提示するときには必ず経験値や持っているスキル、資格などに基づく根拠を用意しておきます。
採用担当も個人的理由があることくらいは分かっています。
ただそれを面接などで表に出す応募者は、「ビジネスマンとして少し欠けているところがあるのかな」と正直思ってしまいます。
低い評価をされないように気をつけてくださいね。
(5)年収UPを希望するのであれば理由は明確にする
現職と同業界・同職種の転職で、現職より年収UPを希望した場合、明確な理由が必要です。
なんの考えもなく、経験もあるし、同じ仕事をするのだから希望年収をあげてもいいだろう、というのはNGです。
給与をUPする分に見合うだけの働きができること、応募先企業に貢献できることをしっかりと説明をしていかないと印象は悪くなってしまいます。
希望年収を低く言ってしまったらどうなる??
面接時に希望年収を聞かれたけど、準備していなかったので希望より低く言ってしまった。。
こんなこともありますよね。
でも、ほとんどの場合は影響がないので安心してください。
給与の計算基準がきっちり決まっていない中小企業は別として、多くの企業では規則などで基準が明確になっています。
そのため、人事担当としては、応募者が面接時に低い年収を言っていても、求人を出す際に決めている基準に沿って入職時の給与額を決定していきます。
企業によって、その基準は異なりますが、人によって変わるとすれば経験年数の上乗せや各種手当の部分くらいです。
転職で希望年収をかなえるための求人の探し方
希望年収をもらうためには、まずは多くの求人情報を集める必要があります。
まずは業界大手の企業のホームページで求人をいくつかチェックして、給与などの労働条件の相場を把握します。
その後、転職サイトで求人をできるだけ集めて、そのなかから希望の転職条件に合う企業を絞ります。
転職サイトはアドバイザーが自分のスキルを評価してくれる企業を紹介してくれるので、自分でリサーチする手間が省けます。
紹介してもらった求人はあらかじめ調べておいた労働条件の相場と比較して、条件が良ければ応募の準備をしていきましょう。
転職サイトは一般には公開していない条件の良い非公開求人を紹介してくれるので、そちらもぜひチェックしてください。
そして、転職サイトは数が多いので、求人数が多く、第三者機関の調査で利用者満足度が高いものを選ぶことが大切です。
転職サイトのおすすめは以下の記事を参考にしてくださいね。
希望年収より高く転職できることはあるのか
企業に伝えておいた希望年収より高く入職できることはあるのか考えてみましょう。
結論としては、希望年収より高く決まることもあります。
なぜかというと、大手企業ほど給与を決定する基準は細かく設定されており、応募者に希望年収を確認していても、年齢や経験年数、保有資格などに当てはめて算出した給与が、希望年収より高くなることがあるからです。
また、基準が決まっているということは、希望年収より高くなることも、逆に低くなることもあるということです。
希望年収はあくまで「希望」なので、最終的に決定した年収がどうしても納得できない時は、他の職場を探すしかありませんが、忘れてはならないのが昇給制度です。
企業によって昇給幅や昇給スピードは異なるため、目先の年収だけでなく数年単位のトータルの収入で考えることも大切ですね。
希望年収100万アップの転職を成功させるには
希望年収をアップさせるためには転職サイトや転職エージェントを利用しましょう。
転職サイトもハイクラス転職サイトを利用することで、年収600万円以上や800万円以上の好条件求人を見つけることができます。
また、転職エージェントを利用し「年収○○万円以上を希望したい」ということをアドバイザーに直接伝えることで、希望にそった求人を紹介してもらうことが可能となります。
そして、応募先を選択する際には、自分のスキルや経験を十分に活かせる企業を選ぶことで、設定年収に経験値相当の上乗せを希望することも可能となります。
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職場でのトラブルは、厚生労働省の総合労働相談コーナーに相談することができます。
悩んだ際にはぜひ利用してください。
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転職の希望年収【まとめ】
・企業側が希望年収を質問するのは、採用の判断基準とするため、応募者が自分を客観的に評価できているのかを確かめるためです。
・希望年収を伝える際には、「基本的には企業規定に従う」という謙虚な姿勢を見せることが重要です。
・自分の市場価値を正しく把握し、経験やスキルをアピールしていくことで年収UPも夢ではありません。
希望年収を質問される意図、希望年収の設定について、面接での答え方についてご説明しました。
あなたの転職が本当に満足いくものになるように願っています。
執筆者情報:裕美の転職研究所
ナース裕美(緒方 裕美)
看護師。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務。今はフリーランス。
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Email:nursehirocom@yahoo.co.jp
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