看護師としてスキルアップするにはどうしたらいい??
もっと看護師としてスキルアップしたい!
そんな疑問にお答えします。
看護師としての専門性に行き詰まりを感じていませんか?
新人の頃は覚えることも多くて、それらを覚えることに必死で毎日成長を感じていたけれども、何か最近は停滞気味、現状に満足できない…何か看護師としての専門性を上げるためにスキルアップしていきたい!もっとやりがいのある仕事に挑戦したい!
そう思う方は多いのではないでしょうか。
そんなあなたのために、この記事では、元看護師の私が看護師としてスキルアップする方法4選をご説明します。
看護師のスキルアップは、モチベーションの維持や自己実現においてとても重要です。
そして、スキルアップのためには以下の方法があります。
1) プリセプターになる
2) 研修に参加する
3) 民間資格を取得する
4) 認定看護師・専門看護師の資格を取得する
それぞれ詳しく解説していきます。
あなたの転職活動の一助になれば幸いです。
この記事の執筆者
ナース裕美 / 緒方裕美
看護師免許を持つ。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務。今はフリーランス。
看護師としての視点から、転職に役立つ記事作成をしています。
看護師としてスキルアップする方法1:プリセプターになる
「各種資格を取得するのはハードルが高い。」「まだどんな専門分野で働きたいかが定まっていない。」というような若手看護師は、プリセプターになるのがおすすめです。
特にスキルアップのための費用も時間もかからないためお手軽と言えます。
プリセプター制度とは
プリセプターと呼ばれる先輩看護師が、プリセプティと呼ばれる新人看護師を教育・指導していくことをいいます。
新人看護師は、このプリセプターから仕事を教わりスキルアップします。
プリセプター制度は新人看護師のための教育制度ではありますが、指導するプリセプター側にも勉強が必要です。
人に指導することで自分に足りなかった部分、理解が浅かった部分に気づくことができます。
また、個人に合わせた指導方法を考慮する必要があるため、指導面でもスキルアップを望めると言えます。
体験談
ICUに異動して2年目(看護師4年目)で初のプリセプター。
まだまだ自分も慣れていない部分、知識が足りていない部分が多く、プリセプティと一緒に勉強していました。
その後は毎年プリセプターをして、2人のプリセプターを同時に行う年もあり、その2人はタイプが全然違ったので、指導方法も全くの正反対でした。
各自を比べることなく、それぞれの指導時間を取る必要があったのでとても大変でしたが、その分1年後の成長を見ると、とても誇らしい気分になったものです。
今考えると、プリセプターになった当初は、自分自身も肩に力がはいっていましたが、繰り返しプリセプターとして指導を行うことで肩の力も抜け、効率よく指導できるようになったと思います。
看護師としてスキルアップする方法2:研修に参加する
病院では院内研修があるところが多いとは思いますが、回数が少なく、内容も選べないため思ったようなスキルアップを望めない場合が多いと言えます。
そのため、院外の研修やセミナーを受講していくことがスキルアップには必要です。
研修に参加するメリット
・自分で学びたい分野をしぼって受講できる。
・院内研修では得られない知識が得られる。
・研修/セミナーが資格修得要件であれば、受講自体が資格修得につながる。
・研修/セミナー受講者と職場以外での横のつながりを作ることができる。
・講師へ直接質問できる機会がある。
研修に参加するデメリット
・プライベートな時間を使う必要がある。
・研修/セミナー受講の費用がかかる
・研修/セミナーの場所によっては宿泊費などがかかる場合がある。
研修/セミナーの探し方
① 日本看護協会
オンライン開催あり。
ラダー別のため受けられる研修/セミナーが限られる。
費用は安い(2000円前後)。
【日本看護協会:公式サイト】生涯学習支援 | 日本看護協会 (nurse.or.jp)
②東京都ナースプラザ
離職中の方(ナースバンク登録必須)も対象。
中小規模施設の看護師対象。
費用は無料。
【東京都ナースプラザ:公式サイト】東京都ナースプラザ | 無料職業紹介所 (np-tokyo.jp)
③東京都看護協会
会員登録必須。会員と非会員では受講料が違う(5500円/11000円ほど)。
オンライン開催あり。
ラダー別のため受けられる研修/セミナーが限られる。
【東京都看護協会:公式サイト】実務実践研修 – 公益社団法人 東京都看護協会 (tna.or.jp)
④民間主催
医学の友社、日総研、エムハンクなど。オンライン開催あり。
受講費は高め。
テキストが充実している。
体験談
様々な院外の研修/セミナーに参加し、完全にプライベートの時間を使って受講しました。
日本看護協会では「NSTについて」、医学の友社では「栄養管理」、日総研では「生体侵襲について」などです。
どれも受講料は高く、2日講義のものもあります。
しかし、どれもテキストがしっかりしており、復習がしやすかったです。
また、自分が興味ある分野のものを受講できるため、学習意欲が上がります。
そして、自分の知識で足りないものを補充することができるので、即臨床に生かすことができました。
看護師としてスキルアップする方法3:民間資格を取得する
スキルアップのためには、段階的に資格を取得していくことが必要です。
まず、民間資格を取得することからおすすめします。
理由としては、難易度の高い認定看護師や専門看護師を目指してしまうと、挫折に繋がるからです。
まずは勉強する習慣を身に付けることが先決です。
また、難易度の低いものから取得して、成功体験を重ねることが大切で、資格の難易度を考えながら少しずつ成功体験を重ねてスキルアップしていきます。
①救急・ICUでのスキルアップ資格
BLS(一時救命処置)
・BLSとは
BLSは看護師になった以上は、どの分野で働いていても最低限取っておきたい資格です。
病院によっては、無料で年に1回のBLSの練習をする機会を提供しているところもあります。
しかし、BLSの手技を十分なものとするためには、資格取得のために自分で勉強することをおすすめします。
また、どこに行ってもBLSプロバイダーであることを証明できるよう、日本ACLS協会が認定しているBLS認定資格を取得するとよいでしょう。
BLSは医療従事者だけでなく保育関係者や企業関係者など一般の方も対象となっている資格のため資格取得のハードルは低いと言えます。
・資格取得コースの内容
資格取得コースは日帰りコースで、約7時間の講義および実施訓練であり、1日で資格取得を目指せるのがこの資格のメリットです。
コースの内容は、成人のBLS、小児・乳児のBLSを学ぶ講義と実施練習を行い、資格の有効期限は2年となります。
受講料は16760円(税別)ですが、地域によって多少金額は異なります。
また、受講料の他にテキスト(4300円程度)を必ず購入する必要があります。
ACLS(二次救命処置)
・ACLSとは
ACLS (二次救命処置)認定資格は、BLSと同様に日本ACLS協会が認定する資格で、心肺停止の救急処置を理論的に学び、急性冠症候群の認識および介入する技術を学びます。
ACLS 認定資格を取得するには、BLSの技術をマスターしておく必要があり、BLS認定資格よりも重要な資格とも言えます。
また、ACLSは、心停止、心拍再開直後、急性不整脈、脳卒中、および急性冠症候群の認識および介入技術を身につけることができます。
緊急事態に冷静に対応できるように、事前に勉強し対応技術を身につけておくことで、いざというとき自信をもって対応できるようになりますので、救急外来または集中治療室で働く看護師なら、取っておきたい資格と言えます。
・資格取得コースの内容
対象者は、医師・看護師・救命士など医療国家試験有資格者、および医学生・看護学生・歯科学生等の医療系学生、その他の医療関係者となります。
成人に対するBLSおよびAEDの復習、心肺再開後の徐脈・頻脈・脳障害などの合併症に対する介入技術を習得できます。
2日間で16時間程度講習が行われ、資格の有効期限は2年です。
受講料は35436円(税別)ですが地域によって多少金額が異なり、講習を受ける人は別にテキスト(7700円)を必ず購入する必要があります。金額が高いのでぜひ一度で合格したいですね。
日本ACLS協会ガイド|ACLS・BLS(ハートコードBLS)・PEARS・PALS情報ガイド
PALS(小児二次救命処置)
・PALSとは
PALS(小児二次救命処置)認定資格は、小児患者の呼吸器・心臓血管系の異常による心肺停止時に行う救急処置の方法と介入方法を理論的かる体系的に学び技術を習得する資格です。
救急外来では小児の搬送も多くあるため、救急外来で働く以上、PALSはALSと同様に取得しておきたい資格となります。
成人だけでなく、小児の救急処置について準備しておくことは専門職としての責任でもありますし、救急看護を極めたいと考えている人にとっては重要な資格となります。
・資格取得コースの内容
対象者は、医師・看護師・救命士など医療国家試験有資格者、および医学生・看護学生・歯科学生等の医療系学生、その他の医療関係者となります。
小児のBLSの復習、重症疾患あるいは外傷のある小児に対する体系的アプローチ、心肺停止の認識とその管理、呼吸窮迫および呼吸不全の認識とその管理、ショック状態の認識とその管理、循環器系緊急事態の認識とその管理、不整脈の認識とその管理、蘇生後の管理など、小児領域に置いての緊急事態における処置方法を幅広く学ぶことができます。
2日間にわたって18時間程度の講習となります。
資格の有効期間は2年です。
受講料は39167円ですが地域によって多少金額が異なります。また受講料とは別にテキスト(14850円)を必ず購入する必要があります。
② 消化器系に携わる人のスキルアップ資格
消化器内視鏡技師
・消化器内視鏡技師とは
消化器内視鏡技師は、内視鏡を用いて医師の監督指導のもとで、消化器内視鏡業務に従事できる資格のことを指します。
近年、胃カメラをはじめとした消化器内視鏡検査は普及が進んでおり、内視鏡を取り扱うスタッフにも、より専門的な知識・技術が求められるようになっています。
消化器内視鏡技師はこのような状況の中で、消化器内視鏡業務に関する専門的知識と技術を備えていることを日本消化器内視鏡学会が認定する資格です。
消化器内科の医師に聞いてみると、消化器内科の全看護師が持っていて欲しいというほどの資格です。
・消化器内視鏡技師の受験資格
消化器内視鏡技師の受験資格のひとつには「日本消化器内視鏡学会専門医が従事する内視鏡室で2年以上の実務経験がある」といった条件があります。
つまり消化器内視鏡技師の資格は、内視鏡室での業務経験が長いことを証明できる証拠にもなりますので、無資格の看護師よりも信頼度は大幅にアップします。
そのため、この資格を有していれば、スキルアップはもちろんのこと、転職の時やブランク明けでも歓迎されやすいといえます。
消化器内視鏡技師の受験資格は以下をすべて満たしている必要があります。
①日本消化器内視鏡技師会が定める医療関連の国家資格を保有していること(看護師、放射線臨床技師など)
②日本消化器内視鏡技師会の専門医が従事する内視鏡室にて2年以上の実務経験があること
③日本消化器内視鏡技師会(支部含む)の医学講習会、もしくは勤務先の内視鏡学会専門医から規定時間以上の医学講義を受講していること
④申請時までに日本消化器内視鏡技師会(支部含む)が主催する研究会、もしくは技師学会に2回以上出席していること
⑤申請時までに日本消化器内視鏡技師会支部部長承認の内視鏡機器取扱講習会 (基礎編) に1回以上出席していること
受験料は1万円、試験場は東京ビッグサイト、資格取得後は5年ごとの更新が必要です。
消化器内視鏡技師認定試験 | 日本消化器内視鏡学会 (jges.net)
栄養サポートチーム専門療法士 (NST専門療法士)
・栄養サポートチーム専門療法士 (NST専門療法士)とは
栄養サポートチーム専門療法士は、主に低栄養状態の患者さんを対象に複数の医療スタッフ(医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科医師、臨床検査技師など)が協力しながら、最も適していると思われる栄養管理を行い、疾病や合併症の予防を目指す栄養サポートチームのことを指します。
栄養状態はどの患者さんにも共通する問題のため、栄養サポートチーム専門療法士 (NST専門療法士)については、消化器内科に限らず、がん看護や虚弱高齢者に関わる看護師にとっては重要なスキルアップ資格と考えて良いでしょう。
患者さんと一日のうちで一番長くかかわるのは看護師です。
看護師が患者さんと医療チームの中心となり、患者さんの状態・嗜好などを同じチームのスタッフに伝えること、患者さん自身に現在の栄養状態を説明することでQOL向上に繋がるためおすすめの資格です。
・認定を申請するには
認定を申請するためには以下を全て満たす必要があります。
①日本国の以下に掲げる国家資格を有すること。(管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師)
②当該国家資格により5年以上、医療・福祉施設に勤務し、当該施設において栄養サポートに関する業務に従事した経験を有すること。
③本学会学術集会に1回(10単位)以上、本学会主催のNST専門療法士受験必須セミナー(旧 JSPEN臨床栄養セミナー、コ・メディカル教育セミナー10単位)に1回以上参加することを必須とし、この単位数を必須単位数とする。
必須単位数30単位以上を有するか、または、必須単位数に加え、本学会が認める栄養に関する全国学会、地方会、研究会への参加単位数の合計が30単位以上あること。
なお、「バーチャル臨床栄養カレッジ」修了証については非必須10単位を認める。
④第4章の規定により認定された認定教育施設(以下、認定施設)において、合計40時間の実地
⑤上記の①~④までの条件を満たした後、認定のための試験に合格していること。
試験は毎年一回。受験料は1万円。認定証の有効期限は5年間です。
NST専門療法士認定資格制度 | 日本臨床栄養代謝学会 (jspen.or.jp)
日本口腔ケア学会認定資格
・日本口腔ケア学会認定資格とは
日本口腔ケア学会認定資格は、文字通り口の中を清潔に保つ口腔ケアに関する専門的知識などを有していることを証明する資格を指します。
口腔ケアは誤嚥性肺炎の原因にもなる口腔内細菌の減少など、口の中はもちろんのこと、口腔内が原因の病気発症の確率を低下させる大切な役割を担っています。
日本口腔ケア学会認定資格は、主に口腔内の健康を維持する目的でさまざまなケアを行います。
その範囲は非常に広く、検診、口腔内の清掃、咀嚼・摂食、嚥下のリハビリ、歯肉のマッサージ、食事介護などがあります。
口腔ケアの資格は、将来的な転職を検討している方にも有利に働く傾向が強いと言えます。
前述のように口腔ケアの業務範囲は非常に広いため、本資格を取得することで一般病院はもちろんのこと、口腔専門病院、高齢者病院や介護施設などへの転職もしやすくなります。
・認定資格を取得するには
認定資格には5級から1級まであります。
1級: 各職域における口腔ケア学の発展に寄与したと認められる業績と、今後この分野の発展への貢献を行いうる優れた人物を認定する。(書類審査、口頭試問)
2級: 口腔ケア分野における一般的知識の他に、最新の技術ならびに口腔ケアに関連した医学、 歯科医学、看護学、法令など幅広い知識を有する者、各施設において職域を越えた 管理者としての能力を有する者。(書類審査、筆記試験、口頭試問)
3級: 各々の職域において所属する部門の口腔ケアリーダーとしてふさわしい知識を有する者を認定する。(書類審査、筆記試験またはCBT方式による試験)
4級:口腔ケアの疾患別、症状別の一般的知識を有する者を認定する。(筆記試験またはCBT方式による試験)
5級:口腔ケアに関する初歩的な用語、手技の知識を有する者を認定する。(筆記試験またはCBT方式による試験)
試験は年一回で、審査料は、5級・4級は1万円、3級2万円、CBT方式による試験は、別途 定められています。
2級2万5千円、1級ならび口腔ケア指導者は3万円です。
③ 精神科に携わる人のスキルアップ資格
臨床心理士
・臨床心理士とは
臨床心理士とは患者さんの相談を受け、相談内容に応じて心のケアを行う専門家です。
臨床心理士は精神科で働く人にとって馴染み深い資格であり、取得しておくとより患者さんに対する心のケアがやりやすくなります。
臨床心理士になるために学ぶこととなる臨床心理学に基づいた知識は、精神科においてとても役立つものです。
心のケアを行うという点では、精神科で働く看護師が取得しておきたい資格の一つだと言えるでしょう。
・臨床心理士を取得するには
臨床心理士の資格は、内閣府が認可している『公共財団法人日本臨床心理士資格認定協会』が実施する試験に合格しなければなりません。
試験を受験する資格を得るためには、以下のいずれかの条件を満たしていなければなりません。
基本的には指定の大学院を修了している必要があるため、狭き門となります。
① 1種・2種のいずれかの指定大学院を修了し、なおかつ指定の条件を充足している人
② 臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した人
③ 諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、なおかつ修了後に日本国内で心理臨床経験が2年以上ある人
④ 医師の免許を取得している人で、免許取得後に心理臨床経験が2年以上ある人
臨床心理士試験に申請する為に必要な書類を入手するのに1,500円、指定審査料で3万円、認定料で5万円が必要です。
一次試験は選択式で、基本的な臨床心理士としての最低限の知識を有しているかを問われます。
また、論述記載もあります。
二次試験は2人の面接委員による個別の口述面接試験が行われます。
面接では臨床心理士に求められる姿勢や態度、専門家に必要な人間関係能力などが問われます。
公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会 (fjcbcp.or.jp)
音楽療法士
・音楽療法士とは
音楽療法は、病気や障害を持つ人に対して、基本的動作能力の維持向上や、社会性を高めるために音楽を使ってアプローチするものです。
精神科では音楽療法が実践されることも多いため、そこで働く看護師が音楽療法士を持っていると、よりさまざまな視点で患者さんの支援ができるでしょう
・音楽療法士を取得するには
日本音楽療法学会認定 音楽療法士資格試験受験認定校へ入学し、音楽療法について体系的に学ぶ。学会が主催する(補)資格試験受験のための制度に参加する。このどちらかのコースで学習し、受験となります。
「音楽療法士とは」音楽療法士|日本音楽療法学会 (jmta.jp)
④呼吸器系に携わる人のスキルアップ資格
3学会合同呼吸療法認定士
3学会合同呼吸療法認定士は、特定非営利活動法人日本胸部外科学会、一般社団法人日本呼吸器学会、公益社団法人日本麻酔科学会の3学会が合同で立ち上げた資格です。
臨床工学技士、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士の中で、それぞれの職種において呼吸療法を習熟し、呼吸管理を行う医療チームの構成要員を養成し、かつそのレベルの向上を図ることなどを目的としています。
資格を取得することで、呼吸療法の実施およびその遂行に用いる機器の管理が業務としてできるようになります。
ただし、国家資格ではないため業務の独占ではありません。
呼吸器ケアをチームでサポートしていきたいと考えている方にお勧めです。
また、呼吸器管理を生涯にわたって極めていきたいのか、考え中だが確実にスキルアップはしたいという方にも向いている資格となります。
・3学会合同呼吸療法認定士を取得するには
看護師としての実務経験2年以上、恣意性書類提出日より過去5年以内に認定委員会が認める学会や講習会などに出席し、12.5点以上を取得していると認定講習会を受講することができます。
認定講習会を受講することで、3学会合同呼吸療法認定士の受験資格を得ることができます。
合格率は平均60%前後でありハードルは高いと言えます。
与えられた資格は認定更新制度により、呼吸療法のさらなるレベルアップと生涯学習の促進を図るために5年毎に更新を行うことになっています。
認定講習会の受講は2万円、受験料1万円、登録料3,000円、更新料3,500円です。
「3学会合同呼吸療法認定士」認定制度 (jaame.or.jp)
禁煙支援士
・禁煙支援士とは
2008年にスタートした資格で、日本禁煙学会によって位置付けられた資格で、資格名の通り禁煙の支援を行う資格です。
特に禁煙外来など外来で禁煙の指導を行っている看護師や、企業で働く看護師が取得するとスキルアップ、キャリアアップが狙える資格です。
禁煙支援士の資格は段階によって初級・中級・上級とあり、この資格を取得することで禁煙支援看護師を名乗ることができます。
認定料5,000円、更新料5,000円、5年ごとに更新が必要。上級は認定料、更新料ともに3万円です。
日本禁煙科学会 禁煙支援士認定(Top Page) (jascs.jp)
⑤ 循環器系に携わる人のスキルアップ資格
循環器専門ナース
・循環器専門ナースとは
2000年度より始まった公益社団法人臨床心臓病学教育研究会の認定資格です。
心臓循環器疾患患者に対する、実践的な知識やケア技術をもつ看護師のことをさします。
資格取得後も、自己研鑽を続け、周囲の同僚などを教育し、積極的に臨床でのチーム医療に参加することで、循環器としてのスキルアップが進みます。
また、各研修で得た学びを同僚や後輩に伝えることで、チーム全体がよりスムーズに動けるようになります。
さらに、患者さんに対しては入院中だけでなく、退院後の生活も考慮したアセスメントや患者教育ができるようになります。
・循環器専門ナースの資格を取得するには
正看護師として1年以上の実務経験があれば臨床心臓病学教育研究会が主催する「循環器専門ナース研修コース」に参加することができます。
これは年2回実施されており、講義や実習を通して視診・触診・聴診などのフィジカルアセスメントのための手技を身につけ、診断能力向上につながる訓練をおこないます。
研修コースの定員は44名であり、選考方法は抽選となっています。応募者が多いと倍率は必然的にあがります。(平均3倍程度)
臨床心臓病学教育研究会の会員は16万、非会員は17万かかります。この中に研修と土曜日の夕食、教材費が含まれます。
研修は、夏期(7月〜9月)・冬期(1月〜3月)コースが開催される3ヶ月間のうち、全8日間の研修で期間内の隔週土日に開かれます。
研修が開催される場所が大阪のみとなっているため、遠方在住の人は研修の指定の土日には大阪を訪れる渡航費が必要となります。
認定試験はWEB上で回答する形式になります。
回答するときはテキストを見たり、相談しながら解答することも可能となっています。
希望者に対しては2年ごとに認定更新試験が実施されます。
認定看護師取得のための勉強期間や費用等が現状では捻出しにくい方や、循環器看護に関する知識や技術を学び直したり、さらにスキルアップしたい方に向いている資格です。
公益社団法人 臨床心臓病学教育研究会(ジェックス) (jeccs.org)
人工心臓管理技術認定士
・人工心臓管理技術認定士とは
補助人工心臓に関する専門的な知識をもつ医療従事者のことです。
具体的には、「医師の指示のもとで行う(補助)人工心臓症例の管理に関する技能・知識を有する能力」を、人工心臓管理技術認定士試験で認められた人を指します。
医師の指示のもと、心臓移植患者や補助人工心臓を使った患者の退院プログラムの管理を進めたり、心臓移植手術を受ける患者の生活の質を向上させるような支援を行ったりすることが期待されています。
人工心臓管理技術認定士になると、補助人工臓器を使用している患者さんの支援を、より専門的な知識と技術で支えることができます。
そのため、一般病院だけでなく循環器病専門の病院でも、広く資格を活かすことができるといえます。
人工心臓管理技術認定士の人数はまだ少なく希少価値があること、また、今後心臓移植を待っている患者数は増加していくと考えられるため、人工心臓管理技術認定士の需要は高まっていくと言えます。
補助人工心臓を使用している総合病院などで人工心臓管理技術認定士の知識や技術が必要不可欠になっていくでしょう。
・人工心臓管理技術認定士の資格を取得するには
・認定修練施設等で3年以上の経験
・日本で製造販売されている全ての(補助)人工心臓システムについて、デバイス管理研修セミナー(またはそれに相当するセミナー)を受講し、研修修了資格を有すること
・指定の研究会・セミナーに5年間で5回以上参加(日本臨床補助人工心臓研究会または DT研究会1回以上の参加を含む)
・5症例以上の(補助)人工心臓治療症例記録
以上を満たしている必要があります。
受験料は10672円で、試験はマークシート形式の筆記試験と口頭試験があります。
過去問がホームページに掲載されているため、試験対策はしやすいと言えます。
合格率は約90%と高めで研修プログラムはないため、資格要件さえ満たせば、取得のためのコストはさほどかかりません。
5年ごとの資格更新が必要で、更新費は5000円です。
ただし、資格更新には一定数の症例の経験や、セミナー参加といった条件が課されています。
とくにケアが難しいとされる(補助)人工心臓を持つ患者や、心臓移植手術を受ける患者さんに対する専門的知識や技術を身に付けたい方に向いている資格です。
人工心臓管理技術認定士 | 日本体外循環技術医学会(JaSECT)
心臓リハビリテーション指導士(心リハ指導士)
・心臓リハビリテーション指導士とは
循環器疾患の治療をはじめ、再発予防やQOL向上に大きく貢献する資格として、理学療法士や作業療法士のスキルアップ資格として人気がありますが、看護師で取得される方も多いです。
心臓リハビリは単に運動療法のみを行っていれば事足りるものではなく、食事療法や禁煙指導を含めた包括的リハビリを目指すべきであり、そのためには、医療専門職間の連携や共同作業(チーム医療)が必要となります。
チームが円滑に機能するためには、心臓リハビリに関する共通認識と知識や用語の共有化、定期的なカンファレンスやミーティングなども行う必要があります。
そのため、この心リハ指導士の認定制度が発足されました。
・心臓リハビリテーション指導士を取得するには
・本委員会(日本心臓リハビリテーション学会)主催の講習会を当該年度に受講していること
・医師、看護師、理学療法士、臨床検査技師、管理栄養士、薬剤師、臨床工学技師、臨床心理士、公認心理師、作業療法士、あるいは健康運動指導士のいずれかの資格を有していること
・申請時に本学会会員であり、申請時の直近2年以上継続して会員歴があること。
・心臓リハビリ指導の実地経験が1年以上あること、または心臓リハビリ研修制度により受験資格認定証の交付を受けていること。
以上の4条件を満たす必要があります。
また、受験申請の際には10例の症例報告(自験例報告)を提出する必要があります。
審査料は15000円(講習会受講料は別)で、5年ごとに資格更新が必要、更新料1万円かかります。
⑥がん看護に携わる人のスキルアップ資格
医療リンパドレナージセラピスト
・医療リンパドレナージセラピスト
日本医療リンパドレナージ協会の認定する資格制度で、医師の診断および指示に基づき、患者さんやご家族への生活指導、リンパ浮腫保存的治療である「複合的理学療法」により治療を行う施術者のことです。
リンパ浮腫に悩まされている多くの方が安心して施術を受けることができる治療環境作りを目指し、患者さんやご家族の肉体的・精神的苦痛を和らげ、ADLやQOLの向上を支援することを目的として2002年に設立されました。
医療リンパドレナージセラピストは、リンパ浮腫の症状に悩む患者さんに対し、医師の指示や判断に基づいてスキンケア・医療リンパドレナージ・圧迫療法・運動療法などを、患者さんの症状や体調に合わせて実施します。
また、病院内だけでなく家でもセルフケアができるよう、本人やご家族にも指導することも大切な役割です。
・医療リンパドレナージセラピストの資格を取得するには
この資格は医師・正看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師が取得できます。
資格を取得するためには、まずは講習会に参加する必要があります。
初級講習と中級講習に分かれており、それぞれ理論と技術を学びます。
それぞれのカリキュラムを修了したのち2日にわたって修了試験(筆記試験、実技試験、口述試験)が行われます。
合格率は90%以上で、不合格の場合も2年間に限り修了試験を受けることができます。
初級講習会から修了試験まであわせて550,000円かかります。
費用が高いため、勤務病院に資格取得補助制度がある場合は利用すると良いでしょう。
また講習会を受けることができる会場が東京・京都・横須賀のみとなります。
会場が遠い場合は交通費や宿泊費が発生します。
医療リンパドレナージセラピスト養成講習会 | 日本医療リンパドレナージ協会 (mlaj.jp)
弾性ストッキングコンダクター
・弾性ストッキングコンダクターとは
弾性ストッキングの正しい使用方法を熟知し、患者さんの苦情や質問に答えられる医療従事者を養成することを目的として、日本静脈学会によって認定されている資格制度です。
医師の指示のもと、ストッキングの種類・サイズの判断、着用時の指導・着用後の不満や問題点の相談などを担います。
・弾性ストッキングコンダクターの資格を取得するには
「静脈疾患・リンパ疾患についての理解」、「圧迫療法の理論と実践」に関する講義・実技指導を受けます。
その後、2年以内に30人に対し臨床指導を行うことで取得することが可能です。
資格は5年間有効で、更新のために資格終了後2年間に施行される認定講習会を再度受講するか、同期間中に30人に対するサイドの臨床指導を行う必要があります。
初回申請料は5,000円、更新料は3,000円です。
認定制度 – 日本静脈学会 (js-phlebology.jp)
認定がん医療ネットワークナビゲーター
・認定がん医療ネットワークナビゲーターとは
認定がん医療ネットワークナビゲーターは、日本癌治療学会が認定している制度です。
地域におけるがん診療情報や医療サービスに関する情報を収集し、その情報をがん患者さんに提供します。
また、地域のがん診療連携活動に参加するなど、役割は多岐にわたります。
e-ラーニングにて必要な講義を受講し、小テストを受験します。
合格後にホームページより申請書を入手して手続きを行いますが、この時にがん医療にかかわる地域医療ネットワークに参加している施設、もしくは組織に所属している必要があります。
認定料は2,200円(税込み)です。
⑦訪問看護に携わる人のスキルアップ資格
ケアマネジャー
・ケアマネジャーとは
「ケアマネジャー(介護支援専門員)」は「介護を必要とする方が自立した生活を送るために必要なサポートに関して専門的な知識やスキルをもっている」と認定され、介護支援専門員証の交付を受けた人のことを指します。
看護師特有の資格ではないですが、訪問看護師として働くうえで、ケアマネジャーの資格は大いに役立つと言えます。
ケアマネジャーは利用者の方と各自治体や介護サービスなどを提供する施設等、医療機関との橋渡し役です。
利用者の方が適切なサービスを受けられるようケアプランを作成したり、各サービスとの調整を行ったりするのが主な業務になります。
ケアマネジャーという視点から、訪問看護の利用者様に寄り添う充実した看護プランを考えられるようになり、利用者様の療養生活をより広い範囲でサポートできるので仕事のやりがいへとつながります。
また、訪問看護師がケアマネジャー視点の考え方を理解すれば、よりスムーズな他職種連携や医療ニーズを適切に把握して効果的な支援を提案することができるようになります。
・ケアマネジャーの資格を取得するには
ケアマネジャーは国家資格ではなく、都道府県が管轄する資格です。
各自治体によって実施内容が異なりますので、自分が受ける自治体の実施内容を必ず確認することが必要となります。
看護師として5年以上の実務経験があれば受験資格を満たすことができます。
また、受験地で勤務していることも条件の一つとなります。
受験手数料12,800円、実務研修受講料は52,800円で、通信講座、通学講座があります。(費用は別途かかります)
5年ごとに資格更新が必要で、更新研修があります。
福祉住環境コーディネーター
・福祉住環境コーディネーターとは
福祉住環境コーディネーターは、高齢者の方や障がい者の方が暮らす住宅の環境を整備するため、各専門職と連携、それぞれの支援内容を吟味し調整する役目を担う資格です。
在宅分野では住環境へのアドバイスは重要な要素となるため、訪問看護師としては良いスキルアップ資格といえます。
福祉住環境コーディネーター検定試験® | 公式サイト (kentei.org)
看護師としてスキルアップする方法4:認定看護師・専門看護師資格を取得する
認定看護師や専門看護師について
認定看護師や専門看護師については、看護師としての経験を積みながら目標を定める必要があります。
若手看護師の場合は、実施何が自分に合っているか、何を目指すべきなのか、これらが定まっていないケースが多いです。
そんな時に何を目指すか定めてしまうことは避けた方がよいと言えます。
認定看護師・専門看護師の資格を取得することで、実際にどんなキャリアを歩んで行くかも必然的に決まっていきます。
しかし、臨床経験を積んでいく中で興味のある分野は変わっていきます。
そのため、様々なスキルアップをしていきながら最終的な目標を決めるのがいいでしょう。
認定看護師と専門看護師の違い
認定看護師が現場での看護技術の実践に焦点を当てていて、看護技術の周辺である看護管理や安全管理は理解するのにとどまるのに対し、専門看護師は、看護技術の周辺にも焦点を当て、研究を通して、管理運用フローや新たな管理手法の計画・立案を実践できるようにすることまでが守備範囲となっています。
取得までの時間が認定看護師が615時間で6か月~1年以内で取得できるのに対し、専門看護師は大学院の修士課程を修了する必要があるため、取得までに最低でも2年係るというところです。
①認定看護師
認定看護師とは
認定看護師は、ある特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を有するとして、資格認定を受けた看護師を指し、現場のSpecialistにあたります。
クリティカルケア、緩和ケア、皮膚・排泄ケア、がん薬物療法看護、訪問看護、感染管理、糖尿病看護、生殖看護、新生児集中ケア、腎不全看護、手術看護、乳がん看護、摂食嚥下障害看護、小児プライマリケア、認知症看護、脳卒中看護、がん放射線療法看護、呼吸器疾患看護、心不全看護の19分野があります。
認定看護師にはそれぞれの分野において、現場のTOPとして、高度な看護技術の実践、後輩の指導・教育、患者さんのコンサルテーションが求められています。
認定看護師の資格を取得するには
看護師免許取得後、実務研修5年以上(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)であることが必須です。
認定の種類によって時期は様々です。
原則は平日に授業があります。(一コマ90分、9:30~18:20)
そのため、通常勤務をしながら研修を受けることは難しいと言えます。
休職等については各勤務病院と相談する必要があります。
参考書等はないため自分なりの学習方法を確立する必要があります。
日本看護協会の会員ページに筆記試験問題が公開されており、筆記試験もあります。
これまでの実務経験、自分が行ったアセスメントや看護実践とその評価などを言語化・文章化する必要があります。合格率は80~90%と高めです。
認定看護師に向いている人
・現場のTOPとしてバリバリ看護師キャリアを築いていきたい人
・短期間に高度な看護技術の習得を目指したい人
・看護師として、患者さんに寄り添っていたいという思いが大きい人
② 専門看護師
専門看護師とは
専門看護師は、ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有するとして、資格認定を受けた看護師を指します。
こちらは、マネジメントのSpecialistにあたります。
専門看護師は大学院で修士課程の修了が必要なため認定看護師より資格認定のハードルが高いと言えます。そのため認定看護師と比較しても専門看護師の割合は圧倒的に少ないです。(約1/10)
がん看護、慢性疾患看護、感染症看護、精神看護、老人看護、在宅看護、災害看護、家族支援、遺伝看護、急性・重症患者看護、母性看護、地域看護、小児看護の13分野があります。
専門看護師には、それぞれの分野において、いくつかの現場を束ねる存在として、調整力、研究を通して、いくつもの現場を俯瞰するような広い視野から根拠立った政策の立案・実践が求められています。
専門看護師の資格を取得するには
看護師免許取得後、実務研修5年以上(うち3年以上は専門看護分野の実務研修)であることが必須です。
看護系大学院に2年間通い修士課程を修了する必要があります。
専門看護師に向いている人
・研究を積極的に行い、その成果を患者さんのみならず、看護業界にも還元したい思いがある人
・看護師の教育・育成を行いたいと考えている人
・ある程度経済的余裕と時間がある人
・看護師の社会的地位向上を活動を通じて目指していきたいと考えている人
福祉住環境コーディネーター検定試験® | 公式サイト (nurse.or.jp)
まとめ
スキルアップ方法を詳しく解説していきましたが、色々と学んできても、最終的にアウトプットをしていかなければ本当の意味でのスキルアップは望めません。
臨床での仕事に学んだことをすぐに取り入れて実践したり、同僚や後輩へ指導したり、勉強会を開催して講師をしたり、レポートをまとめたり、次の資格のための勉強をしたり…より効果的にスキルアップを望むのであればアウトプットを意識して行うことが重要です。
アウトプットを行っていくことで学習してきたことが身についていくと言えます。
スキルアップをして、看護師としてレベルアップしていきましょう!
執筆者情報:裕美の転職研究所
ナース裕美(緒方 裕美)
看護師。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務。今はフリーランス。
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東京都
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