緩和ケアの看護師の仕事内容は??
緩和ケアの看護師の求人はどうやって探せばいいの?
そんな疑問にお答えします。
緩和ケアは、生命を脅かすがんのような疾患を抱える患者さんに対して、4つの苦痛(身体的、精神的、社会的、スピリチュアル)を緩和してQOLを改善することを目的としています。
緩和ケアはチーム医療となります。
患者さんの状態やニーズに合わせて医師や看護師のほか、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー、介護職などの多職種でカンファレンスを重ね、どのような方針でケアすることが最善か検討していくことになります。
緩和ケア専門の求人は少ない傾向にあり、給与は平均的です。
この記事では看護師の私が、緩和ケアの看護師の特徴やメリット・デメリット、求人の探し方をご説明します。
あなたの転職活動の一助になれば幸いです。
この記事の執筆者
ナース裕美(緒方裕美)
看護師。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務後独立。現在はキャリアアドバイザーとして活動中。
保有資格は「看護師免許」、「職業紹介責任者(番号:001-220124001-05302)」
『ナース裕美の看護師転職サイト早わかり解説』(Kindle)著者。
看護師としての視点から、転職に役立つ記事作成をしています。
当メディアは厚生労働省が規定している職業紹介責任者が監修しています。
緩和ケア・ホスピスケア・ターミナルケアの違い
緩和ケア
緩和ケアでは病気の進行度や疾患には関係なく、患者さんの苦痛を和らげることに重きを置いています。
最近ではがん以外の疾患や診断時の初期にも対応しているところが増えてきています。
ホスピスケア
「治療が望めない、余命の短い患者さん」へ身体的・精神的・社会的側面などから総合的にケアを行います。
こちらもがん治療のイメージが強いですが、対象疾患はとくにありません。
ターミナルケア
終末期ケアと言われます。
「治療が望めない患者さんに対して、苦痛を与える延命医療を中止、人間らしく死を迎えるためのケア」です。
ターミナルケアは一般の病棟からホスピス・緩和ケア病院などの専門病院、緩和ケア外来、一部在宅・介護施設など多くの場所で行われています。
緩和ケアの看護師の仕事内容
基本的に緩和ケア病棟では「治癒」を目的とした医療行為を積極的には行わず、痛みや不快な症状を和らげるために必要なケアを中心に提供していくことが多いです。
疼痛コントロール、栄養管理、褥瘡の予防やケア、胸水や腹水の管理など、患者さんの様子を見ながら日々の看護を実施します。
痛みの程度によっては、薬物治療の一環として医療用麻薬を使用することもあります。
患者さんが最期を迎えたときは、死後のケアも行います。
そんな、緩和ケア看護師の仕事内容をご説明します。
身体的な痛みの緩和
疼痛コントロールを行います。
患者さんの症状や疼痛の程度に合わせて医師の指示のもと薬剤を使用していきます。
痛みや苦痛が強い場合は緩和のために、通常は使用しない劇薬や麻酔薬を用いるケースもあります。
ただし、強い薬を使用すると、弱い薬に戻れなくなってしまうこともあります。
強い薬には依存性もあります。
薬の使用については、患者さん、医師とよく相談したうえで使用していきます。
さらに苦痛を伴う検査、点滴や管を入れるといった処置は、患者さんやその家族と相談し、必要最小限に留めていきます。
精神的な痛みの緩和
患者さんが抱える、精神的な苦痛や、死への恐怖心に対し、精神科医や心理療法士と協力してケアにあたります。
また、患者さんだけでなく、その家族に対する支援も同時に行う必要があります。
どれだけ患者さん、ご家族に寄り添っていけるかが重要であり、看護師としての技量が試されます。
一般的な病棟業務
患者さんの移動や体位変換、清潔ケア、排泄ケア、与薬などの一般的な病棟業務を行います。
患者さん一人一人の状態に合わせて無理のない範囲で実施していきます。
また、清潔ケアなどはご家族と共にケアを行うこともあります。
医師の診療補助(訪問診療)
医師と共に患者さんの自宅に訪問し、診療・治療を行っていきます。
診察は医師が行いますので、看護師はその補助に入ります。
また、薬剤の準備をし、医師の指示のもと投与を行います。
患者さん、ご家族の話を聞きながら、患者さん一人一人に合った診療を行っていきます。
在宅で患者さんを看ているご家族へのねぎらいも重要な業務です。
緩和ケア看護師をするメリットデメリット
メリット
一人一人の患者さんにゆっくりと向き合うことができる
緩和ケア病棟では検査や治療が少ないです。
そのため、病棟内はゆったりとした時間が流れています。
バタバタとケアに入ることもないため、患者さん一人ひとりと向き合う時間が多く取れることも特徴です。
「一人一人の患者さんが最期までその人らしくあるためにはどうしていけばいいか」を常に考えながらケアにあたります。
そのためには患者さんやご家族としっかりと信頼関係を築き、ゆっくりじっくりと話をしていくことが必要となります。
個別性のある看護ケアのスキルが高くなる
緩和ケアでは、回復の見込みがほとんどない患者さんを相手にするということで、常に死が身近にあり、精神的な強さが求められます。
しかし、余命宣告を受けた患者さんが、残された時間を自分らしく、穏やかに過ごせるようサポートすることは、一般病棟では得られにくいやりがいになっていきます。
緩和が目的のため一般的な看護ケアに比べると正解がわかりづらく、答えが出ないことも多いです。
その分看護師としての経験値を高められる病棟です。
スキルアップが可能
緩和ケア病棟での経験は、緩和ケア認定看護師の資格取得につながります。
また、終末期ケア専門士の資格を取ると、より患者さん・ご家族に寄り添ったケアを実施していくことができます。
緩和ケアでは、緩和ケアでしか得られない知識・経験を積み重ねることができます。
がん治療などを行う、他診療科でも緩和ケアについての知識・経験は役立てることができますので、看護師としての自分の強みになります。
給与は平均的
緩和ケアに特別な手当はありません
病棟勤務のため夜勤がありますので、その分給与はあがります。
勤務する医療施設によって待遇は変わってきますのでよくリサーチすることが大切です。
デメリット
患者さんの回復を見ることができない
緩和ケアは基本的に病気を治すための治療・看護を行うことはありません。
そのため、患者さんの回復をみることはほぼできません。
患者さんが少しでも安楽に、自分らしく最期を迎えられるようにお手伝いをしていくことになります。
報われることがほとんどない看護に、虚しさやストレスを感じる看護師もいます。
それも、患者さんが苦痛を感じることなく、安らかに死を迎えるまで見届けられた、と思えればやりがいに変わる可能性があります。
精神的に辛い
患者さんの苦痛の緩和は行っていますが、患者さんの最期へむけてのケアとなります。
また、死と向き合う機会も一般病棟より多くなるため、看護師自身が精神的に不安定になってしまうこともあるようです。
長く関わり、寄り添ってきた患者さんの死は、看護師にとっても辛いことです。
その過程を繰り返すことになるため、メンタルが弱ってしまうこともあります。
高度な看護技術を習得することはできない
緩和ケアは病気の完治が目的ではないため、患者さんに苦痛を与えるような侵襲的な処置は最小限となります。
そのため、高度な看護技術を提供する場面は少ないと言えます。
基本的な看護技術の向上は望めますが、高度な技術は望めません。看護師として物足りない、と感じることがあるかもしれません。
腰痛リスク
緩和ケアでは患者さんの移動や体位変換に介助が必要なことが多いです。
そのため、力仕事など体力を使う場面は多いです。
もともと腰痛など体力的に不安がある人には難しい職場となります。
緩和ケア看護師に向いている人の特徴
包容力のある人
緩和ケアでは、最期に向けて生活している患者さんと、そのご家族に親身になり寄り添っていくことが重要です。
患者さん、ご家族の不安や悲しみ、患者さんの症状に対するストレスなど、多くの精神的ストレスに向き合っていくことになります。
患者さんやご家族の話を傾聴、適宜共感しながら寄り添っていきます。
優しく、温かく、包み込むような優しさが必要です。
じっくりと患者さん一人一人に合わせた看護を行いたい人
緩和ケアに入院している患者さんの疾患は多岐にわたります。
特定の診療科の疾患だけを診るのではありません。
症状や痛みの感じ方も人それぞれです。
一人一人の患者さんに合わせてケアも変わってきますので、個別性に富んだ看護を行うことができます。
精神的にタフな人
緩和ケア病棟は患者さんの死に関わることが多くあります。
また、苦痛を感じる患者さんとも関わっていきます。
看護師自身も辛く、悲しい気持ちになります。
しかし、自分の悲しみに浸っている時間はありません。
ご家族の悲しみも含め受け止められる心と、自分の心を律する強い精神力が必要となります。
コミュニケーションスキルの高い人
緩和ケアはチーム医療となります。
看護師は24時間、患者さんの一番近くで関わります。
治療面と生活面のサポートに関わる各職種の橋渡しができるため、多職種内のコーディネーター役として、中心的な役割を担います。
患者さんの情報を各職種にフィードバックすることにより、より適切なケアが行えるようになります。
そのためにも関係職種とスムーズにコミュニケーションを図っていくことが求められます。
緩和ケア看護師の年収事情
それぞれの施設の年収事情をご説明します。
病棟
緩和ケア病棟の場合は夜勤手当がつきます。
ただし、緩和ケア看護師に特別な手当はありません。
年収目安は500万円台です。
クリニック
クリニックの場合は、夜勤がないため年収は下がり年収目安は400万円台です。
24時間対応の訪問診療を行っている施設の場合、オンコール対応が必要なこともあり、オンコール当番には別途手当が加算されます。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションも月に何度かオンコール当番をする必要があります。
オンコール当番の回数により給与が加算されていきます。
年収目安は500万円前後です。
緩和ケアの看護師求人を探すには
看護師の転職サイトで求人をできるだけ集めてから、職場を探していきましょう。
看護師専門の転職サイトは一般には公開されていない、条件の良い非公開求人もありますので、必ずチェックしておきたいところです。
また、転職サイトも様々なものがありますので、選ぶ際は求人数が多いこと、利用者満足度が高いことを確認して失敗のないようにしてくださいね。
転職サイト選びが転職成功の鍵をにぎっています。
おすすめの転職サイトは以下の記事を参考にしてください。
緩和ケア看護師は難しい?
緩和ケア看護師は難しいのか?
「技術的なことが難しいのか」
「知識的な部分が難しいのか」
「環境の部分で難しいと感じるのか」
「患者さんなどの人との関わりを難しいと感じるのか」
どんな業務を「難しい」と感じるのかは人それぞれですが、緩和ケアでは難しい看護技術は基本的に必要ありません。
日常生活援助やバイタルサイン測定、点滴管理など、基本的な看護業務ができれば、技術的には問題ないと言えます。
しかし、人との関わりに関しては難しい、と感じる人は多いです。
緩和ケアで関わるのは患者さんとその家族です。
病気による身体的苦痛のみならず、病気が良くならないことに対しての精神的苦痛も持っています。
そんな方々と関わるわけですから、信頼関係の構築も大変です。
人と関わることを苦手と感じている人にとっては、緩和ケアは難しいと感じるかもしれません。
緩和ケア看護師を辞めたいと思ったら
緩和ケア看護師を辞めたいと思ったら、まずは、なぜ辞めたいと思ったのかを分析することが大切です。
「どんなところが辛かったのか」
「続けることで克服できることことなのか」
「辞めることで解決できる問題なのか」
どう頑張っても問題を解決できない、抱えている問題により心身の不調をきたしている、そんなときは辞めてもいいと思います。
その代わり、
「辞めてどうしたいのか」
「辞めることで生じる問題」
「将来的ビジョン」
などをしっかりと考えておく必要があります。
一時的な感情で辞めるのだけはおすすめしません。
辞めるのであれば、しっかりと準備を行いましょう。
緩和ケア看護師の勤務先を選ぶときにチェックしておきたいこと
緩和ケアの看護師の給与や労働条件は、どこの病院を選ぶかで変わってきますので、求人情報をよく見極めて、良い条件の転職先を見つけたいですね。
転職してから後悔しないように、事前にチェックが必須な項目などを記事にまとめましたので、参考にして頂ければと思います。
まとめ
・緩和ケアの看護師は個別性のある看護ケアのスキルが身につく
・緩和ケア専門の求人は少ない傾向にあり、給与は平均的
・緩和ケアは死と向き合う機会も一般病棟より多くなるため、精神的に辛い場面がある
緩和ケアの看護師についてご説明しました。
あなたの転職が本当に満足いくものになるように願っています。
執筆者情報:裕美の転職研究所
ナース裕美(緒方 裕美)
看護師。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務。今はフリーランス。
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