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看護師プリセプター役割|元ICU看護師が教えるプリセプターの役割

ナース裕美です。

プリセプターの役割ってなに??
プリセプターはどんな能力が必要??

元ICU看護師の私が、こんな疑問にお答えします。

看護師として数年経験を積むとプリセプターとして、新人看護師の教育・指導を任せられるようになってきます。

漠然とプリセプターというものを分かってはいるものの、実際どうやって後輩を育てていくのか、どんな能力が必要なのか、詳しいことがわからないという人もいるのではないでしょうか。

この記事では、プリセプターとは何か、役割、指導方法を体験談含めてご説明します。

あなたの看護師人生の一助になれば幸いです。

この記事を読むとわかること

プリセプターに求められる能力や役割がわかります。

実際のプリセプターはどのように動いているかわかります。

プリセプターの時期ごとの指導方法がわかります。

プリセプターの指導の注意点がわかります。

この記事の執筆者


ナース裕美 / 緒方裕美
大学病院にて眼科、ICUに11年勤務。今はフリーランス。
看護師に役立つ記事作成をしています。

プリセプターとは…

そもそもプリセプター制度とはどんなものなのでしょうか。

これはある程度の経験を積んだ先輩看護師が、新人看護師を一定期間マンツーマンで指導に当たる教育法を指します。

指導する先輩看護師を「プリセプター」、新人看護師を「プリセプティ」と呼びます。

プリセプター制度は新人看護師が臨床に出てすぐの時期から活用される制度です。

プリセプターになるには

プリセプターになるために特別な資格や認定はありません。

厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインによると「看護職員として必要な基本的知識、技術、態度を有し、教育的指導ができる者であることが望ましい」とされています。

プリセプターについては各医療機関によって独自の基準を設けていることがほとんどです。

一般的には、3年以上の経験を積んだ看護師が任されることが多いです。

プリセプターに求められる能力

前述の新人看護師職員研修ガイドラインには指導者に求められる能力として以下の5つが挙げられています。

1:新人看護職員に教育的に関わる能力
2:新人看護職員と適切な関係性を築くコミュニケーション能力
3:新人看護職員の置かれている状況を把握し、一緒に問題を解決する能力
4:新人看護職員研修の個々のプログラムを立案できる能力
5:新人看護職員の臨床実践能力を評価する能力

プリセプターの役割

1:新人看護師の精神的フォロー

新人看護師のなかには、環境の変化や学生時代に学んだことと実際の臨床の現場で求められる能力とのギャップに悩まされる人が少なくありません。

これはリアリティショックと呼ばれ、新人看護師が離職してしまう大きな要因とされています。

また、新人看護師は悩みを一人で抱え込みがちです。

プリセプターは一番身近な相談相手としての役割を期待されています。

2:看護師としてのお手本

プリセプターは自分の担当する患者さんの看護ケアなどをプリセプティとともに行っていきます。

その中で、看護技術やアセスメント、対人関係構築、自己管理方法など、広範囲にわたってお手本を示していく必要があります。

プリセプティはプリセプターを模範に各看護技術や業務を実践していき、知識や技術の定着をめざします。

プリセプターの実際

ここまでプリセプターの求められる能力や役割についてまとめました。

それでは実際のプリセプターはどのように動いているのでしょう。

プリセプターを任されるということは看護師として一人前になった証

プリセプターは前述の通り、ある程度の経験を積んだのちに任せられる役割です。

この「ある程度の経験」というのは、勤務する診療科のことを一通り学習し、必要な看護技術を獲得していることを指します。

プリセプターを初めて任されるときは「自分はまだ一人前じゃない」「人に指導するなんて荷が重い」と感じる人も多いでしょう。

ですが、任されるということは、周りから見れば一人前の看護師として認められているということなのです。

自信を持ちましょう。

新人指導とともに自分の業務も行う必要がある

プリセプターとして新人看護師の指導だけしていればいい、というわけにはいかないのが実情です。

看護師は万年人手不足です。

新人も1として数えられているため、年度初めは余計に忙しいですよね。

ですから、プリセプターをしながら通常業務をこなさないといけない、なんてこともあります。

自分の業務を行い、どんなに忙しくても新人に目を配り、仕事を教えていく必要があります。

後輩を育てるという責任と、患者さんの命を守るという責任を同時に持つことになりますから、通常以上の緊張感をもって仕事に臨むことになります。

新人看護師に関する全てを一人で指導する必要はない

プリセプターとしての役割はあっても、新人教育は個人だけが負うものではありません。

医療機関によってはプリセプターのフォロー役として教育担当やアソシエートナース、コーチが配置されているところもあります。

プリセプターとしての責任はありますが、必要以上に気負う必要はありません。

プリセプティによって指導方法は変わってくる

ひとくくりに新人看護師といっても、人間です。

個性は人それぞれです。

仕事の覚えが早い人も、遅い人もいます。

1を言って10を知る人もいますが、一つ一つ順に教えないといけない人もいます。

それぞれのペースに合わせて教育・指導を行う必要があります。

「他の新人はできているのに…」「これくらいはできて当たり前なんだけど」なんて周りと比べてしまうこともあるでしょう。

できていないと、焦りから口調が厳しくなったり、あたりが強くなったりしてしまいがちです。

ですが、厳しく責めるだけでは委縮してしまい、かえって業務に支障をきたしてしまいます。

教育・指導以外でもコミュニケーションを積極的に図り、プリセプティ個人のことを知りましょう。

そして一つ一つの課題をどうすれば解決できるか、一緒に考えていくことが必要です。

また、うまくいっているプリセプターの人に話を聞いたり、教育担当者や上司に相談して助言を仰ぐこともいいですね。

プリセプティとともに成長する

プリセプターは新人看護師の教育・指導を任されています。

しかし、プリセプターの多くは3~4年目の看護師です。

確かに一通りの業務や知識を身につけ仕事に慣れてきた頃でしょう。

新人看護師に教育・指導をすると、気づくこと・見直す必要があることが分かってきます。

プリセプティに分かりやすい指導をするために改めて学びなおしたり、いつも行っている業務を改めて振り返っていくことは、自分の知識・技術のさらなる向上へとつながります。

そして、プリセプティができることが増え、一人前に近づくほど自分自身の指導力を評価されます。

看護師としてのステップアップ

プリセプターとしての期間は一般的に約1年間です。

この決められた期間のなかで担当する新人の性格や素質を見極め、良好な関係を築いて指導していくことは、プリセプター自身のコミュニケーション能力を磨くチャンスにもなります。

看護師として働いていく上で、様々な職種の人と良好な人間関係を築いていく必要があります。

それには円滑なコミュニケーションを図るための能力が欠かせません。

プリセプターとしての役割を遂行することでこのコミュニケーション能力が養われます。

プリセプターの時期ごとの指導方法

4~6月は「やって見せる」

新人が入職して数日はプリセプターに新人がついて回り業務を見学します。

これをシャドーイングといいます。

シャドーイングの目的は先輩の姿を見せることです。

行動一つ一つの意味・目的・根拠を声に出していくことが重要です。

そうすることで新人が一人で行動するときに、真似をするだけではない根拠をもった看護をしていくことができるようになります。

特に患者さんのケアを行うときは留意点や大切にしていることを伝え、看護の基本を学べるようにします。

また、4~6月の新人の不安は計り知れません。

自分は看護師に向いていないのではないか、役に立てなくてダメだ、自分は邪魔になっているのではないか、などなど悩みは尽きません。

プリセプターはそんな新人の相談相手となり、安心感を与える存在となっていくことが大切です。

7~9月は必要な時にフォロー

新人が一通り必要なことを学び一人で受け持ちを持ち始めます。

しかし、まだまだひとり立ちではなくフォローが必要な時期です。

プリセプター自身も、普通に受け持ち患者さんがいて、なおかつ新人のフォローも行うという、とっても忙しい時期となります。

新人は受け持ち患者さんが増え、情報収集やスケジュール管理に苦しみます。

また、優先順位の組み立てにも苦労しますので、プリセプターは実践の中で優先順位の立て方を指導していきます。

また、うまくいかない原因を一緒に考え、自分の経験を踏まえて解決策を導き出しましょう。

10~12月は見守る

この時期になると技術的にも自立していきます。

しかし、習得していない技術が明らかにもなってきます。

頻度が低い処置は仕方がないですね。それらを習得できるように調整していきます。

新人の成長に差がみられる時期でもあります。

プリセプターが気づくということは、新人自身も同期と比較して落ち込んでいるといえます。

焦る必要はありません。

どうしても個人差は出てきます。それぞれの新人のいいところを伸ばしながら、苦手なところを改善していけるように指導します。

1~3月は総まとめ

この時期なるとほぼ自立している状態が望ましいです。

そのため、プリセプターとプリセプティの業務内での関りが少なくなってきます。

そんな中でもプリセプティの知識・技術の習得状況についてしっかりと確認していくことが必要です。

2年目に上がるにあたり、1年目で習得すべき看護技術や知識が習得できているか確認します。

1年目の総まとめの振り返りを行います。

1年間の努力を十分に認めてあげましょう。

また、2年目になるにあたっての課題や、どんな先輩なりたいか、などを話し合っていくことも大切です。

プリセプターの指導の注意点

その場で指導

プリセプティと一日一緒に勤務していると、指導することが沢山出てきます。

それらを、「今は忙しいから業務終了後にまとめて指導する」のではなく「気づいたときにその場で指導する」ということが大切です。

後から言われても、その時の気持ちや細かい動作については曖昧になっていることが多いです。

「その場で」指導することで、すぐに振り返ることができ、行動の修正を行うことができます。

具体的な指導

「ここができていない」とだけ言われると、言われた方は落ち込みます。

「ここができていないから、こうした方がいい」「どうした方がいいと思う?」など解決策も一緒に伝えましょう。

また、自分で考えられるように声をかけていくことで理解がさらに深まります。

知識・技術を伝える

プリセプティが質問してきたことだけを指導するのでは、いつまでも一人前になれません。

たとえ情報収取や事前学習が不足していたとしても必要なことはその場で指導を行いましょう。

自分の持っている知識や技術は惜しみなく伝えます。

そうすることで、プリセプティのもつ知識やできる技術がどんどん増えていき、一人前に近づきます。

患者さんの安全が第一

新人看護師には初めて行う処置や検査・ケアがあります。

事前に学習をして、先輩看護師のやっているところを見て、自分でやっているところを見てもらって、先輩のOKが出て、初めて一人で行うことができます。

しかし、一度ですべてを覚えることは難しいです。

自立のためにはあえて一人でやってもらうことも大切ですが、何よりも優先するべきことは患者さんの安全です。

自信のない処置などは、確実に技術が習得できるまで見守ることが必要です。

具体的な声掛け

ついつい「大丈夫?」と声をかけがちです。

プリセプティは大丈夫でなくても「大丈夫です」と答えてしまいます。

そんな時は「どこまで進んでる?」「これが先の方がいいかな」と具体的に声をかけていくと、新人が業務の優先順位をつけ方を考える良い機会となります。

振り返りは簡潔に

一日の業務が終わったら振り返りの時間をとります。

たくさん指導したいこと、伝えたいことがありますよね。

つい長時間になってしまいがちです。

でも、伝えたいこと・指導は実践の場でその都度伝える方が効果的です。

振り返りの時間は簡潔にポイントを伝える場とします。

また、プリセプターが一方的に話すのではなく、プリセプティ自身がどう考えていたのかを自分の言葉で表現できるように導いていくことも大切です。

そして、最後は「次の勤務も頑張ろう!」と思えるような前向きな言葉で締めていくといいですね。

プリセプターの体験談

私はICUに異動して次の年に初めてプリセプターをしました。

まだまだICUで必要な知識も技術も足りないとわかっていたため不安で仕方がなかったことを覚えています。

また、人に指導すること自体が初めてだったため、どう指導していいか手探りの状態でした。

初めてのプリセプティには厳しく指導していました。

今思うと、なんであんなに厳しくしてたんだろう?と反省です。

それほど自分にも余裕がありませんでした。

例えば、前の日言ったことを忘れていたら「昨日言ったけど、なんで覚えてないの?」とか、プリセプティが「○○でした」と報告してきたら「うん、で、どうしたいの?何をしたの?」などなど、追い詰めるような言い方をしていました。

そしてよく泣かせてしまっていました。

よくついてきてくれたと思います。

そんな初めてのプリセプティも私がICUにいる間、ずっと一緒に働いていました。

厳しくしていたのに懐いてくれて、仲良く過ごしていました。

逆に、そんな自分についてきてくれたプリセプティに感謝ですね。

その後は毎年プリセプターとして新人の指導を行いました。

2人同時に指導していたこともあります。

その時は、プリセプティの2人が全然違うタイプの人たちだったので指導も一苦労でした。

それこそ、1人は飲み込みが早くどんどん技術を習得するタイプ、1人はマイペースで何度か繰り返すことで習得するタイプでした。

指導も二人分、業務終了後の振り返りも二人分、とっても大変でした。

でも、その年をやり過ごしたことで相手が1人の時のプリセプターが楽に感じられるようになったと言えます。

またICUのスタッフが足りなさ過ぎて月単位で別部署からリリーフに来てもらっている時期がありました。

看護師経験がある程度ある人が来てくれてはいましたが、ICUは初めての人たちばかりです。

毎月プリセプターをやっているようなものでした。

回数をこなすと指導も効率的になってきます。

また、自分自身の指導方法についての勉強にもなりました。

まとめ

・プリセプターの役割は新人看護師の教育・指導。

・指導方法は様々。プリセプティの個性に合わせていくことが重要。

・全て一人で抱える必要はない。病棟全体で新人を育成していく。

・結果的に自分の成長にもつながる。

プリセプターとは何か、役割、指導方法を体験談含めてご説明しました。

あなたの看護師人生が充実するよう願っています。

執筆者情報:裕美の転職研究所

ナース裕美(緒方 裕美)

看護師。大学病院にて眼科、ICUに11年勤務。今はフリーランス。

ナース裕美の夫

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大学病院にて眼科、ICUに看護師として11年勤務した後独立。現在はキャリアアドバイザー、転職メディア運営、メディカルライターとして活動。 企業の採用担当として働く夫とともに、転職を成功させるためのノウハウを発信しています。 看護師としての視点、採用側の視点両面から考え、転職に役立つ記事作成をしています。 ★保有資格「看護師免許」「職業紹介責任者(番号:001-220124001-05302)」
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